長期金利の動向やアトランタ連銀総裁の発言に注目
2024/01/08 08:45
【ポイント】
・米国の長期金利が上昇すれば、米ドルが堅調に推移しそう
・アトランタ連銀総裁が金融政策について新たな手がかりを提供するか
(欧米市場レビュー)
5日の欧米時間の外為市場では、米ドルが上下に振れる展開に。米国の23年12月雇用統計は、失業率が3.7%、非農業部門雇用者数が前月比21.6万人増と、いずれも市場予想(3.8%、17.0万人)よりも強めの結果でした。これを受けて米ドルが買われ、一時、米ドル/円は145.953円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08740ドル、豪ドル/米ドルは0.66366米ドル、NZドル/米ドルは0.61702米ドルへと下落しました。
※米雇用統計については、6日の『ファンダメ・ポイント』[米雇用統計は比較的堅調、それでも3月利下げあり?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
その後発表された米国の12月ISM非製造業景況指数は50.6と、市場予想の52.6を下回りました。これを受けて米ドルが売られて、米ドル/円は143.791円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.09939ドル、豪ドル/米ドルは0.67429米ドル、NZドル/米ドルは0.62717米ドルへと上昇する場面がありました。
カナダの12月雇用統計は、失業率が5.8%と、市場予想の5.9%よりもやや強めの結果に。一方で、雇用者数の結果は前月比0.01万人増と、市場予想の1.35万人増を下回りました。強弱マチマチの結果だったことで、カナダの雇用統計に対する市場の反応は限定的でした。
(本日の相場見通し)
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向が材料になりそうです。
米長期金利は5日にNY市場を4.05%で終え、23年12月中旬以来の高い水準をつけました。足もとの米長期金利上昇の主な要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の後退が挙げられます。CMEのFEDWatchツールによれば、市場が織り込むFRBが3月に利下げする確率は約7割。23年12月29日時点では9割程度ありました。
米長期金利が一段と上昇すれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇圧力が加わり、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルには下落圧力が加わりそうです。米ドル/円は、145.953円(1/5高値)が目先の上値メドです。
今年24年のFOMCにおいて投票権を持つ、ボスティック・アトランタ連銀総裁の発言機会が本日あります。ボスティック総裁がFRBの金融政策の先行きについて新たな手がかりを提供すれば、材料になりそうです。
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