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雇用統計に注目! 米ドルやカナダドルが反応!?

2024/01/05 09:00

【ポイント】
・米国とカナダの雇用統計でFRBBOCの利下げ観測が変化するか

(欧米市場レビュー)

4日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。米ドル/円は一時144.807円へと上昇し、23年12月19日以来、約2週間ぶりの高値を記録。米ドル/カナダドルは1.33614カナダドルへと上昇し、豪ドル/米ドルは0.66956米ドル、NZドル/米ドルは0.62182米ドルへと下落する場面がありました。米国の経済指標が市場予想よりも良好だったことや、米長期金利(10年物国債利回り)の上昇が、米ドルの支援材料となりました。米経済指標の結果は、ADP雇用統計(23年12月分)が前月比16.4万人増、新規失業保険申請件数(先週分)が20.2万件。市場予想はそれぞれ11.5万人増と21.6万件でした。

ユーロも堅調。一時、ユーロ/米ドルは1.09679ドル、ユーロ/円は158.547円、ユーロ/英ポンドは0.86349ポンドへと上昇しました。ユーロ圏やドイツの総合とサービス部門の12月PMI(購買担当者景気指数)改定値が市場予想を上回ったことが、ユーロの支援材料となりました。

PMI改定値の結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<ユーロ圏>
・総合:47.6(47.0)
・サービス部門:48.8(48.1)

<ドイツ>
・総合:47.4(46.7)
・サービス部門:49.3(48.4)

ドイツの12月CPI(消費者物価指数)速報値が発表され、結果はEU(欧州連合基準)が前年比3.8%、国内基準が同3.7%でした。いずれも市場予想通りの結果となり、市場は反応薄でした。

は軟調。一時、豪ドル/円は97.130円、NZドル/円は90.184円、カナダドル/円は108.387円へと上昇しました。能登半島地震を受けて日銀の金融緩和策の修正(マイナス金利の解除など)が後ズレするとの観測が強まっており、円の重石となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の23年12月雇用統計が発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応しそうです。

雇用統計の市場予想は、以下の通り。( )は前回の実績です。
・失業率:3.8%(3.7%)
・非農業部門雇用者数(前月比):17.0万人増(19.9万人増)
・平均時給(前月比):0.3%(0.4%)
・平均時給(前年比):3.9%(4.0%)

米国のISM製造業景況指数(12月)やADP雇用統計、新規失業保険申請件数が市場予想よりも良好な結果だったこと、そしてややタカ派的だったFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録を受けて、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は次回1月30-31日のFOMCで6.2%、その次の3月19-20日までで66.3%。23年12月28日時点の確率はそれぞれ16.5%と86.7%でした。

※FOMC議事録については、4日の『ファンダメ・ポイント』[FOMC議事録:利下げ観測けん制も市場は反応薄!?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。

米国の雇用統計が市場予想よりも良好な結果になれば、利下げ観測が一段と後退すると考えられます。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円には上昇圧力が加わり、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりそうです。

***

BOC(カナダ中銀)は前回23年12月6日の政策会合時の声明で「必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」との姿勢を改めて示しました。その一方で、マックレムBOC総裁は、BOCの利上げサイクルはすでに終了して、次の一手は利下げになる可能性を示しました。マックレム総裁は12月15日に「インフレ率が目標である2%に到達するための条件は一段と整いつつある」と述べ、18日には「コアインフレ率が(BOCの)予想通りに鈍化すれば、24年のある時点で利下げを開始する可能性がある」と語りました。

市場では、BOCは4月に利下げを行うとの見方があります(1月24日と3月6日の会合に関しては、政策金利は据え置かれると予想)。

カナダの12月雇用統計が本日発表されます(米国と同じ日本時間22:30)。カナダの雇用統計の市場予想は、失業率が5.9%、雇用者数が前月比1.35万人増です。失業率は22年1月以来、1年10カ月ぶりの高水準だった11月の5.8%から悪化するとみられています。カナダの雇用統計が市場予想よりも弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まるとともに、カナダドルが軟調に推移しそうです。

***

ユーロ圏の12月CPI速報値が発表されます(日本時間19:00)。CPIの市場予想は、総合指数が前年比3.0%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数が同3.5%です。市場予想からかい離する結果になれば、ユーロが反応する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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