マネースクエア マーケット情報

トルコ中銀は5%利上げ、南アフリカ中銀は据え置き

2023/11/24 09:05

【ポイント】
・トルコ中銀は今後の利上げ幅縮小&近く利上げを終了することを示唆
・南アフリカ中銀はタカ派的な姿勢を維持
・カナダ小売売上高で市場のBOCの金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

23日の欧米時間の外為市場では、英ポンドが堅調に推移。一時、英ポンド/円は187.537円、英ポンド/米ドルは1.25579ドルへと上昇し、ユーロ/英ポンドは0.86755ポンドへと下落。英ポンド/米ドルは2カ月半ぶりの高値をつけました。英国の11月の総合PMI(購買担当者景気指数)速報値が50.1と、市場予想の48.7を上回ったことが、英ポンドの支援材料となりました。総合PMIが景況判断の分かれ目である50を上回ったのは、4カ月ぶりです。

※英PMIについては、本日24日の『ファンダメ・ポイント』[ユーロ圏、英国の経済情勢・金融政策]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。

***

TCMB(トルコ中銀)は政策会合を開き、5.00%利上げすることを決定。政策金利を35.00%から40.00%へと引き上げました。利上げは6会合連続です。

TCMBは声明で、「(トルコの)CPI(消費者物価指数)上昇率は10月に若干低下し、最新のインフレ報告で示した見通しに沿っている(※)」と指摘。「これまでの金融引き締めの影響によって内需が鈍化し始めており、またインフレ期待と企業の価格設定行動に改善の兆しが見られ始めている」との見方を示しました。

声明はまた、「現在の金融引き締めの水準は、ディスインフレの軌道を確立するために必要な水準にかなり近づいている」とし、「金融引き締めのペースは減速して、短期間で引き締めサイクルは完了する」と表明。今後利上げ幅を縮小するとともに、利上げサイクルは近く終了するとの意向を示しました。TCMBの次回政策会合は12月21日です。

(※)トルコの10月CPIは前年比61.36%と、上昇率は9月の61.53%から鈍化しました。TCMBは11月2日に公表したインフレ報告で「インフレ率は23年末に65%、24年末に36%」と予想。エルカンTCMB総裁はインフレ報告公表後の会見で「インフレ率は24年5月に70~75%程度でピークに達した後、ディスインフレが始まる」との見方を示しました。

***

SARB
(南アフリカ中銀)は、政策金利を8.25%に据え置くことを決定。据え置きは3会合連続で、据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「現在の政策金利の水準は、(景気)抑制的であり、またインフレ見通しとインフレ期待の上昇に沿っている」としつつも、「インフレ見通しに対する深刻な上振れリスクは残る」と指摘。「(上振れ)リスクを踏まえ、政策委員会は警戒を維持し、リスクが顕在化し始める場合には行動する用意がある」と述べるなど、SARBのタカ派的な姿勢は維持されました。

市場では、SARBは早ければ24年5月に利下げに転じる(それまで政策金利は据え置き)との見方もありますが、この見方は後退する可能性があります。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の11月PMI(購買担当者景気指数)速報値が発表されます(日本時間23:45)。この結果が材料になる可能性があります。

PMIの市場予想は製造業が49.8、サービス部門が50.4と、いずれも10月改定値(50.0と50.6)から低下するとみられています。業況判断の分かれ目は50です。市場予想を下回る結果になれば、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円は下落し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは上昇しそうです。

***

マックレムBOC(カナダ中銀)総裁は21日の講演で、22年3月に開始した利上げサイクルの終了を示唆しました。マックレム総裁は「必要なら追加利上げを行う」としつつも、「(BOCの)政策金利は、物価の安定を取り戻すのに十分に(景気)抑制的となっている可能性がある」と指摘。また、「物価の上昇をあまりにも容易にしていた過剰な需要はもはや解消した」「今後数四半期は景気の低迷が続くと予想しており、これはインフレの下押し圧力が一段と強まることを意味する」などと語りました。

市場では、“BOCの利上げサイクルはすでに終了しており、政策金利は24年3月まで据え置かれて、4月に利下げが行われる”との観測があります。

カナダの9月小売売上高が本日発表されます(日本時間22:30)。小売売上高の市場予想は前月比0.0%、自動車を除いた小売売上高が同マイナス0.2%です。市場予想を下回る結果になれば、BOCの利下げ観測が高まるとともに、カナダドルが軟調に推移する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ