ユーロ圏、英国の経済情勢・金融政策
2023/11/24 08:56
【ポイント】
・ユーロ圏はリセッション入りも
・ECBは利上げ打ち止めの公算大も、市場の利下げ観測は早過ぎる!?
・英PMI総合が4カ月ぶりに50超で景気拡大を示唆
・BOEは追加利上げ観測が残り、利下げ開始は24年8月!?
ユーロ圏はリセッション入りも
ユーロ圏の11月PMI総合指数は47.1と、景気拡大・縮小の境界とみなせる50を6カ月連続で下回りました。7-9月期GDPは前期比-0.1%とマイナス成長になっており、10-12月期もマイナスとなるようなら、リセッション(景気後退)が現実味を帯びそうです。

24年10月までに3回の利下げ!?
23日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、次回12月の理事会以降に市場は利下げを少しずつ織り込んでいます。メインシナリオ(確率50%超)は、「24年4月、7月、10月に各0.25%の利下げ」。これは米FOMCに対する市場予想とほぼ同じです。
23日に公表されたECB理事会の議事要旨(10/25-26開催分)には、「現在の基本シナリオに含まれていないとしても、必要に応じて再度利上げの準備を整えておくべき」との見解がありました。利上げが「基本シナリオ」に含まれていないのであれば、ECBはすでに利上げサイクルは終了したと判断していると受け取れます。ビルロワドガロー仏中銀総裁は23日、「予想外の事態を除き追加利上げはない」との認識を示しましたが、それも同じことでしょう。
仏中銀総裁は市場の利下げ観測をけん制
ただし、ビルロワドガロー総裁は、「今後数回の会合と数四半期は政策金利が4%にとどまるだろう」とも述べ、早期利下げ観測をけん制しました。ウンシュ・ベルギー中銀総裁も23日、「たとえリセッション(景気後退)になっても、賃金の伸びが鈍化して2%のインフレと整合的になるまでは利下げない」との見解を示しました。
ユーロ圏の包括的な賃金統計はなさそうですが、ユーロスタットによれば、ユーロ圏の工業における賃金は今年4-6月に前年比6.3%となっており、2%のインフレとの距離はかなりありました。

*******
英国はリセッション回避?
英国の11月PMI総合指数は50.1と、4カ月ぶりに50超となりました。7-9月期のGDPは前期比横ばい(ゼロ成長)でしたが、微妙ながらもリセッションは回避できるかもしれません。

市場はBOEの最初の利下げを24年8月と予想
23日のOISに基づけば、24年2月のMPC(金融政策委員会)までの利上げを市場は23%織り込んでいます。その後は利上げ確率が低下し、6月以降は利下げが織り込まれ始めます。そして、メインシナリオ(確率50%超)は、「24年8月に0.25%の利下げ」。11月までの追加利下げの確率は49%なので、メインシナリオではないものの、利下げは五分五分といったところでしょう。
BOEはインフレ警戒を堅持!?
英国の10月CPIは、総合が前年比4.6%と、前月の6.7%から大きく鈍化。BOE(英中銀)は23年末にかけてインフレが顕著に鈍化するとみていたので、ほぼ予想通りの展開かもしれません。ただし、CPIコア(エネルギー・食料・酒・タバコ除く)は同5.7%と前月の6.1%から鈍化したものの、引き続き高水準です。また、9月の週賃金(賞与除く)は前年比7.5%と引き続き高い伸びとなっており、BOEが懸念する「賃金⇔インフレ」の上昇スパイラルが解消されたとは言い難いかもしれません。
ベイリーBOE総裁は21日、「インフレの急低下を市場は過度に重視している。インフレが今後もしつこく続くことを懸念している」と述べました。
・ユーロ圏はリセッション入りも
・ECBは利上げ打ち止めの公算大も、市場の利下げ観測は早過ぎる!?
・英PMI総合が4カ月ぶりに50超で景気拡大を示唆
・BOEは追加利上げ観測が残り、利下げ開始は24年8月!?
ユーロ圏はリセッション入りも
ユーロ圏の11月PMI総合指数は47.1と、景気拡大・縮小の境界とみなせる50を6カ月連続で下回りました。7-9月期GDPは前期比-0.1%とマイナス成長になっており、10-12月期もマイナスとなるようなら、リセッション(景気後退)が現実味を帯びそうです。

24年10月までに3回の利下げ!?
23日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、次回12月の理事会以降に市場は利下げを少しずつ織り込んでいます。メインシナリオ(確率50%超)は、「24年4月、7月、10月に各0.25%の利下げ」。これは米FOMCに対する市場予想とほぼ同じです。
23日に公表されたECB理事会の議事要旨(10/25-26開催分)には、「現在の基本シナリオに含まれていないとしても、必要に応じて再度利上げの準備を整えておくべき」との見解がありました。利上げが「基本シナリオ」に含まれていないのであれば、ECBはすでに利上げサイクルは終了したと判断していると受け取れます。ビルロワドガロー仏中銀総裁は23日、「予想外の事態を除き追加利上げはない」との認識を示しましたが、それも同じことでしょう。
仏中銀総裁は市場の利下げ観測をけん制
ただし、ビルロワドガロー総裁は、「今後数回の会合と数四半期は政策金利が4%にとどまるだろう」とも述べ、早期利下げ観測をけん制しました。ウンシュ・ベルギー中銀総裁も23日、「たとえリセッション(景気後退)になっても、賃金の伸びが鈍化して2%のインフレと整合的になるまでは利下げない」との見解を示しました。
ユーロ圏の包括的な賃金統計はなさそうですが、ユーロスタットによれば、ユーロ圏の工業における賃金は今年4-6月に前年比6.3%となっており、2%のインフレとの距離はかなりありました。

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英国はリセッション回避?
英国の11月PMI総合指数は50.1と、4カ月ぶりに50超となりました。7-9月期のGDPは前期比横ばい(ゼロ成長)でしたが、微妙ながらもリセッションは回避できるかもしれません。

市場はBOEの最初の利下げを24年8月と予想
23日のOISに基づけば、24年2月のMPC(金融政策委員会)までの利上げを市場は23%織り込んでいます。その後は利上げ確率が低下し、6月以降は利下げが織り込まれ始めます。そして、メインシナリオ(確率50%超)は、「24年8月に0.25%の利下げ」。11月までの追加利下げの確率は49%なので、メインシナリオではないものの、利下げは五分五分といったところでしょう。
BOEはインフレ警戒を堅持!?
英国の10月CPIは、総合が前年比4.6%と、前月の6.7%から大きく鈍化。BOE(英中銀)は23年末にかけてインフレが顕著に鈍化するとみていたので、ほぼ予想通りの展開かもしれません。ただし、CPIコア(エネルギー・食料・酒・タバコ除く)は同5.7%と前月の6.1%から鈍化したものの、引き続き高水準です。また、9月の週賃金(賞与除く)は前年比7.5%と引き続き高い伸びとなっており、BOEが懸念する「賃金⇔インフレ」の上昇スパイラルが解消されたとは言い難いかもしれません。
ベイリーBOE総裁は21日、「インフレの急低下を市場は過度に重視している。インフレが今後もしつこく続くことを懸念している」と述べました。
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