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米CPIに注目。米ドル/円は高値を更新するか

2023/11/14 08:24

【ポイント】
・米ドル/円は22年10月高値に接近後に急落もすぐに反発
・米CPIは技術的変更の影響でやや上振れの可能性も
・欧州のZEW指数や英国の賃金統計などにも注目

(欧米市場レビュー)

13日の欧米外国為替市場で、ユーロや英ポンドが堅調、ユーロ/英ポンドは反落しました。米長期金利(10年物国債利回り)が4.70%に接近する場面ではユーロ/米ドル英ポンド/米ドルとも軟調でしたが、米長期金利が反落すると両通貨ペアともに上昇しました。英ポンドについては、やや行き過ぎたBOE(英中銀)の利下げ観測が修正されたとの見方もありました。7日のRBA(豪中銀)の利上げ後に下落していた豪ドルは小反発。NZドルは続落。豪ドル/NZドルは上昇しました。

■豪ドル/NZドルについては、本日のテクニカル・ポイント「豪ドル/NZドル、相場の力を溜め込む時間帯!」をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

米ドル/円は続伸、一時151.872円を付けました。10月31日の高値(151.691円)を超え、昨年10月21日の高値(151.899円)に接近したところで急落しましたが、その後151円台後半まで反発しています。米ドル/円急落の背景は、本邦当局による介入警戒感やオプション絡みのポジション調整との指摘があります。もっとも、昨年10月21日は本邦当局が過去最大(5.6兆円)の円買い介入を実施した日。米ドル/円の151円台の滞空時間は4時間ほどしかなく、その後一時145円台まで急落しました。

※昨日13日にTOKYO MXテレビのストックボイス「東京マーケットワイド」に出演しました。テーマは「構造的円安 vs 循環的円高」。10日のグローバルView(YouTube)とほぼ同じ内容ですが、番組の雰囲気や語り口も異なるのでぜひご覧ください。冒頭では為替介入についても話しています。

米国の10月財政収支は666億ドルの赤字。1年前の879億ドルの赤字から改善しました。10月まで1年間の財政収支は1兆6,738億ドルの赤字と3カ月連続で縮小しましたが、赤字が引き続き高水準のために共和党保守強硬派が歳出削減を強く主張する背景となっています。

(本日の相場見通し)

本日14日には米国の10月CPI(消費者物価指数)が発表されます。市場予想は以下の通り。( )は前月実績。

CPI総合:前年比3.3%(同3.7%)
CPIコア:前年比4.1%(同4.1%)

米CPIは昨年夏~秋をピークに伸びが鈍化傾向にありますが、改善ペースはやや鈍っているようです。CPI総合はエネルギーのマイナス寄与がなくなりつつあり、CPIコアは、労働コストを強く反映するとしてFRBが注視するコアサービス(住居費を除く)の改善が鈍っています。10月のCPIは医療保険料の算出方法の変更によりやや上振れるとの指摘もあるようです。

欧州では、ユーロ圏とドイツのZEW景気期待指数、英国の雇用関連統計に注目。

ドイツの11月ZEW景気期待指数は5.0と、前月のマイナス1.1から改善が予想されています(ユーロ圏の同指数は前月が2.3、市場予想はありません)。欧州ではリセッション(景気後退)懸念が強まっており、同指数が下振れするようだとユーロに下押し圧力が加わるかもしれません。

英国では、10月の失業率(9月4.0%)、7-9月の週平均賃金(賞与を除く、市場予想前年比7.7%、前月7.8%)などが発表されます。BOE(英中銀)は、「賃金⇔物価」のスパイラル的な上昇を懸念してきただけに、それらの結果が金融政策の判断に影響する可能性があります。ただし、15日に10月CPIの発表を控えており、市場の反応は限定的かもしれません。

米国議会では、共和党のジョンソン下院議長の継続(つなぎ)予算案を巡って動きがありそうです。議長は14日の下院採決を目指していますが、共和党の保守強硬派は採決だけでなく、採決に向けた手続きに関しても邪魔をする手段を持っているようです。一方で、民主党もウクライナやイスラエルへの支援金、被災地救済資金なども含まれていないことに不満を持っています。仮に、継続予算案が議会を通過した場合に、バイデン大統領は署名するのか、拒否するのか判断を保留しているようです。シャットダウン(政府機能の一部停止)を回避できるかどうか、14日は重要な一日となるかもしれません。

■本日のファンダメ・ポイントは「【アップデート】米議会、シャットダウン回避へ重要な一日」です。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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