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FRB議長の発言で米ドル堅調、BOM会合でメキシコペソ軟調

2023/11/10 09:07

【ポイント】
・米国の長期金利の動向に注目。長期金利が上昇すれば、米ドルが堅調に推移しそう
BOM(メキシコ中銀)は政策金利を据え置く期間の文言を修正
CPI上昇率が鈍化を続ければ、BOMの利下げ観測が高まりそう

(欧米市場レビュー)

9日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は151.344円、米ドル/カナダドルは1.38109カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06596ドル、英ポンド/米ドルは1.22088ドル、豪ドル/米ドルは0.63620米ドルへと下落しました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演で、「インフレ率を2%に低下させるのに十分高い水準に(政策)金利が達しているとは、確信していない」「さらなる(金融)引き締めが適切になれば、(FRBは)躊躇しない」と述べたことが、米ドルの支援材料となりました。

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メキシコペソは軟調。メキシコペソ/円は8.458円へと下落しました。BOM(メキシコ中銀)が声明において政策金利を据え置く期間に関する文言を修正(※後述)したことが、メキシコペソに対する下押し圧力となりました。

(本日の相場見通し)

米国の長期金利(10年物国債利回り)は9日に反発し、一時4.65%へと上昇しました(8日には一時4.50%を割り込みました)。米国の30年物国債の入札が不調だったことや、上述のパウエルFRB議長の発言がタカ派的と受け止められたことが、長期金利の上昇要因となったようです。

米長期金利の上昇は、米ドルにとってプラスになると考えられます。米長期金利が一段と上昇すれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。米ドル/カナダドルは、1.38942カナダドル(11/1高値)が上値メドです。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米ドル/円は長期金利による「推計値」に回帰!]です。

米国の10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が本日発表されます。ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想の63.7からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。

米ドル/については、本邦当局の反応に引き続き注目です。神田財務官は1日、米ドル/円が151円台へと上昇するなかで、「一方的で急激な動きを懸念」「足もとの動きで一番大きいのは投機」「より高い緊張感の状況になっている」「過度な変動に対しては、あらゆる手段を排除せず適切に行動する」「(為替介入を含めて)スタンバイ」などと述べました。

鈴木財務相や神田財務官の発言によって日本政府・日銀による為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感が市場で高まる場合、米ドル/円は上値が重くなりそうです。

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BOM(メキシコ中銀)は政策金利を11.25%に据え置くことを決定。据え置きは5会合連続で、据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

BOMは声明で、「メキシコでは、ディスインフレ(インフレ率が低下していく状態)のプロセスが進展した」と指摘しました。メキシコの10月CPI(消費者物価指数)は前年比4.26%でした。BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き上回ったものの、上昇率は9カ月連続で鈍化し、21年2月以来の低い伸びでした。

声明はまた、「政策金利はしばらくの間、現在の水準に維持する必要がある」と表明。政策金利を据え置く期間について、前回9月までの“長期間”から“しばらくの間”へと変更しました。これは利下げに向けた地ならしと見ることもできます。

BOMの次回政策会合は12月14。次回会合までに、メキシコのCPIは2回(11月23日に11月前半分、12月7日に11月月間分)発表されます。CPI上昇率が鈍化を続ける場合、市場ではBOMの利下げ観測が高まりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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