米国の雇用統計や長期金利低下で米ドルが軟調
2023/11/06 08:45
【ポイント】
・米長期金利が一段と低下するか
・弱いカナダの雇用統計でBOCの利上げ終了観測が高まる
(欧米市場レビュー)
3日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は149.120円、米ドル/カナダドルは1.36544カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.07439ドル、豪ドル/米ドルは0.65127米ドル、NZドル/米ドルは0.59951米ドルへと上昇しました。米国の10月雇用統計で失業率が3.9%、非農業部門雇用者数が前月比15.0万人増と、市場予想の3.8%と18.0万人増よりも弱い内容だったことや、米長期金利(10年物国債利回り)の低下が、米ドルに対する下押し圧力となりました。
※米雇用統計について詳しくは、4日の『ファンダメ・ポイント』[米雇用統計、NFPは市場予想に届かず。打ち止め観測高まるも・・・]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
米国の長期金利(10年物国債利回り)は3日に一時4.48%へと低下し、9月下旬以来の低い水準をつけました。米雇用統計の弱い結果を受けてFRB(米連邦準部制度理事会)の利上げ打ち止め観測が一段と高まったことが、米長期金利への低下圧力となりました。
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、米長期金利の動向が材料になりそうです。米長期金利がさらに低下すれば、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上昇すると考えられます。ユーロ/米ドルは、200日移動平均線(6日時点で1.08043ドル)が目先の上値メドです。
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カナダの10月雇用統計が3日に発表され、結果は以下の通りでした。
・失業率:5.7%(市場予想:5.6%。前回:5.5%)
・雇用者数(前月比):1.75万人増(市場予想:2.25万人増。前回:6.38万人増)
・正社員の平均時給(前年比):5.0%(市場予想なし。前回:5.3%)
失業率は市場予想以上に前回9月の5.5%から悪化し、22年1月以来の高い水準でした。雇用者数の伸びは市場予想を下回ったうえ、雇用者数の内訳をみると、フルタイム雇用者数は前月比マイナス0.33万人でした(雇用増はパートタイムが中心)。また、正社員の平均賃金の上昇率は前回から鈍化しました。雇用統計は、総じて弱い内容と言えそうです
カナダの雇用統計の結果を受けて、市場ではBOC(カナダ中銀)の利上げサイクルは終了したとの見方が一段と高まりました。このことはカナダドルにとってマイナスと考えられます。
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