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原油高がカナダドルやメキシコペソを下支えするか

2023/10/20 08:52

【ポイント】
・米長期金利はさらに上昇するか
・本邦当局による介入警戒感が米ドル/円の上値を抑えそう
・原油価格は一段と上昇するか

(欧米市場レビュー)

19日の欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/カナダドルは1.36797カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.06109ドル、豪ドル/米ドルは0.63511米ドル、NZドル/米ドルは0.58611米ドルへと上昇しました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が米ドルの重石となりました。

パウエル議長は経済見通しに関する討論会で、「一段の利上げが正当化される可能性がある」と述べました。その一方で、「不確実性やリスク、そしてこれまで来た道(大幅な利上げ)に鑑みれば、FOMCは慎重に進んでいる」「最近の国債利回りの上昇は、全体的な金融状況を大幅に引き締めるのに役立っている」とも語り、市場ではこれらが意識されたようです。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の主要な経済指標の発表はなく、米長期金利(10年物国債利回り)の動向が材料になりそうです。米長期金利は19日に一時5%に接近しました(NY市場は4.99%で終了)。FRBは政策金利を長期間にわたって高水準に維持するとの見方が、最近の米長期金利上昇の主な要因になっているようです。

米長期金利が一段と上昇すれば、米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは下値を試す可能性があります。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[次回FOMCは据え置きが確実!? 長期金利は5%に接近]です。

米ドル/は伸び悩むかもしれません。神田財務官は19日の講演で、「投機的な動きがあれば、しっかりと対応する」「過度な変動があった場合、適切な行動をとるというのは国際的に認められている」などと述べました。日本政府・日銀による為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感が、米ドル/円の上値を抑えそうです。

原油価格が上昇しています。米WTI原油先物は6日に一時81ドル台へと下落したものの、その後上昇に転じており、19日は前日比1.05ドル(1.19%)高の1バレル=89.37ドルで取引を終了。清算値(終値に相当)としては、9月29日以来、およそ3週間ぶりの高値をつけました。中東情勢の緊迫化による原油の供給をめぐる懸念が、足もとの原油価格の上昇要因になっています。

原油価格の上昇は、カナダドルやメキシコペソにとってプラスです。原油価格が一段と上昇する場合、カナダドルやメキシコペソの下支え材料になる可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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