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次回FOMCは据え置きが確実!? 長期金利は5%に接近

2023/10/20 08:28

【ポイント】
・パウエル議長は次回据え置きを示唆、先行きの利上げに含み残す
・短期金利は低下、長期金利は上昇
・米ドル/円は150円に限りなく接近

パウエル米FRB議長は19日の講演で、「不確実性やリスク、そしてこれまで来た道(大幅な利上げ)に鑑みれば、FOMCは慎重に進んでいる」と述べ、次回10月31日-11月1日のFOMCでの政策金利据え置きを示唆。一方で、「トレンドを超える成長の持続、あるいは労働市場のタイトさがもはや緩和していないといった追加的な証拠があれば、物価目標への進展が妨げられるリスクがあるので、追加的な利上げを正当化するかもしれない」とも述べて、将来的な利上げの可能性に言及しました。

19日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は次回FOMCでの利上げを3.9%しか織り込んでいません。市場が織り込む利上げ確率は12月13日のFOMCまでで25.6%。24年1月31日のFOMCまでで40.9%で、そこが利上げ確率のピーク。その後は6月までで利下げ確率が66.4%、9月までで追加利下げの確率が60.8%となっています。つまり、市場のメインシナリオは「今年7月の利上げをもって打ち止め、来年の6月以降に1~2回の利下げあり」というものです。

OIS

市場の利上げ観測が後退する一方で、長期金利(10年物国債利回り)は4.99%に上昇しました。イールドカーブ(利回り曲線)をみると、前日と比べて期間3年以下が概ね低下し、5年以上が上昇。期間が長いほど上昇幅が大きくなりました。

米イールドカーブ

パウエル議長は足もとの長期金利の上昇に関して、タームプレミアム(◆キーワード)が上昇しているからだと指摘。その背景として、財政赤字に対する意識の高まりやQT(量的引き締め=国債供給の増加)を挙げました。

今後、利上げ打ち止め観測が強まっても長期金利は上昇を続けるのか、その場合に米ドル/円には上昇圧力が加わるのか、注意深く見守る必要がありそうです。

◆キーワード
タームプレミアム:
期間プレミアムともいいます。債券投資などで資金を長期間固定する場合に伴うリスクに見合うように、投資家が求める上乗せ金利のこと。

■本日配信予定のM2TVグローバルView(YouTube)では米長期金利について解説しますので、ぜひご覧ください。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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