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米財務長官訪日、米中首脳会談、ウォーシュ議長誕生!?

2026/05/11 11:22

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【今週のポイント】
・ベッセント米財務長官が訪日、為替相場や日銀に言及するか
・米中首脳会談や中東情勢、“ウォーシュFRB議長”の言動にも要注意
・豪中銀は利上げのいったん停止を、メキシコ中銀は利下げ終了を示唆

4月27日の週は、日銀、FRB、ECB、BOE(英中銀)などの政策会合がありました。いずれも政策金利の据え置きを決定。日銀では利上げを主張した3人が反対、FRBでは3人が先行きの利下げバイアスに反対するなど、ややタカ派的内容でした。足もとではインフレ圧力が高まっており、今後の原油価格の状況などによっては引き締め方向へのシフトがみられるかもしれません。

4月30日以降5月6日まで、本邦当局により複数回の米ドル売り円買いの為替介入が入った模様です。米ドル/円は4月30日の160円台から6日には一時155円ちょうど近辺まで下落しましたが、その後は反発して157円ちょうど近辺で推移しています(日本時間11日10:30現在)。7日には、三村財務官が引き続き投機の動きが見られると述べました。介入後の米ドル/円の下落分の半値戻し、すなわち158円近辺より上では追加介入の警戒が必要かもしれません。

今週の主要経済指標・イベント

トランプ大統領は日本時間11日朝、米国の提案に対するイランの回答を拒否しました。WTI原油先物価格は3.5ドル程度上昇。市場はいったんリスクオフに傾きそうです(日経平均は約500円上げて寄り付いた後に上げを消しました)。今後、米国とイランの和平交渉に新たな展開はあるでしょうか。

今週は重要な外交日程があります。

11日にはベッセント米財務長官が来日し、高市首相や片山財務相と会談する予定です。議題は、「円安」、レアアースなど経済安全保障、米中首脳会談前の日米調整などとみられます。日本の円安対策として、ベッセント財務長官が、為替介入ではなく、日銀による利上げを求める可能性もありそうです。

14日にはトランプ米大統領が訪中し、習国家主席と会談する予定です。議題は、中東(イラン)情勢、関税、レアアース、台湾問題など多岐に渡りそう。大きな合意に至るというよりも、各問題に対するそれぞれの立場を確認するだけになるかもしれません。ただ、米国がイランとの和平に関して中国の働きかけを期待する可能性はあるでしょう。

15日にパウエル米FRB議長の任期が満了し、ウォーシュ元FRB理事が後任になる見込みです。ウォーシュ氏の議長就任は上院本会議での承認待ちですが、4月29日に上院銀行委員会で承認されており、本会議でも問題なさそうです。“ウォーシュ議長”がトランプ大統領の利下げ圧力にどう対応するか。市場が利下げを期待して好感するのか、それともFRBの独立性侵害を危惧して市場金利が上昇するのか。すぐに結果は判明しないかもしれませんが、要注目でしょう。

8日に発表された米国の4月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比11.5万人増と、2カ月連続で2ケタの増加でした。NFPが2カ月連続で増加したのは約1年ぶり。今週の4月小売売上高は良好だった3月分から反動が出そうですが、それでも景気の持ち直しが確認できるかもしれません。また、4月CPIが大きく上振れするようであれば、利下げ観測が一段と後退、利上げ観測が浮上するかもしれません。<西田>

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今週はイラン情勢を注視する必要がありそうです。イラン国営メディアは10日、「イランが米国の提案に対する回答を仲介国のパキスタンに送った」と報道。トランプ米大統領は同日、「イランのいわゆる“代表者”からの回答を読んだ。気に入らない。全く受け入れられない」と自身のSNSに投稿しました。

米国とイランの戦闘終結への期待が後退するようなら、原油価格には上昇圧力が加わり、安全資産とされる米ドルは全般的に堅調に推移するとみられます。原油価格の上昇は、ノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソなど産油国の通貨にとってプラスになると考えられます。

“米ドル高・円安”への本邦当局の対応にも引き続き注目です。市場は、本邦当局は4月30日に為替介入(米ドル売り・円買い介入)を実施し、その後も介入を行ったとみています。仮に追加介入があれば、米ドル/円が大きく下落しそう。その場合には豪ドル/円やNZドル/円、カナダドル/円などは米ドル/円の下落に引きずられるとみられます。<八代>

今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:155.000円~160.500円>
4月30日以降の為替介入とみられる場面では、米ドル/円が下落するものの、すぐに小反発。「円売り」の需要が大きいことがうかがえます。中東情勢が緊迫化したり、原油価格が高騰したりすれば、米ドル/円に上昇圧力が加わっても不思議ではありません。そのケースで米ドル/円の上昇を阻むものは本邦当局による介入(ないしその警戒感)ぐらいでしょう。

一方、米ドル/円が155円からさらに下落するとすれば、米国とイランの和平交渉の進展、原油価格の大幅安、過熱気味の日米株価の急落、本邦当局による本腰を入れた為替介入などが材料となりそう。ただし、為替介入については、介入に批判的なベッセント財務長官が訪日するなかで実行するのは難しいかもしれません。<西田>

今週の注目通貨ペア②:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.97500Sクローナ~1.25000Sクローナ>
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)は5月に入ってパリティ(1.00000Sクローナ)を超えてきました。ノルゲバンク(ノルウェー中銀)が7日の会合で0.25%の利上げ(政策金利を4.25%へ)を決定したことも材料になりました。ノルゲバンクは25年9月に0.25%の利下げを行った後、政策金利の据え置きを続けていました。利上げは23年12月以来。

同じ日にリクスバンク(スウェーデン中銀)は政策金利を1.75%に据え置きました。両国の政策金利差は2.50%となり、過去10年間で最大です。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場はノルゲバンクが次回6月の会合で利上げする確率を5割強、8月までで約7割、9月までで1回プラス追加利上げを2割強織り込んでいます。一方、リクスバンクについて、市場は次回6月会合での利上げ確率を2割弱、8月までで5割強、9月までで1回プラス追加利上げを2割強織り込んでいます。それぞれの確率を勘案すれば、短期間であれ、政策金利差が一段と拡大する可能性があり、それはNOK/SEKの強気材料となりそうです。

ノルウェーが産油国であるため、NOK/SEKは原油価格の影響も受けます。中東情勢や原油価格の動向にも注意は必要でしょう。<西田>

今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.20500NZドル~1.22500NZドル
RBA(豪中銀)は5日の会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を4.10%から4.35%へと引き上げました。RBAによる利上げは3会合連続で、今回の利上げによって政策金利は25年の利下げ開始前の水準に戻りました。

RBAのブロック総裁は会合後の会見で、「中東での戦争の行方を見守る余地がある」と述べ、「今回の利上げによって戦争に関連したインフレ(の上振れ)と経済成長の(下振れ)の両面のリスクを見極めることが可能になった」と語りました。RBAによる利上げはいったん停止される可能性があります。

OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場ではRBAは次々回8月の会合で0.25%の追加利上げを実施し、26年末までその水準を維持するとの見方が優勢です。

一方、同じくOISに基づくと、市場ではRBNZ(NZ中銀)は次々回7月の会合で0.25%の利上げを実施し、26年末までに合計1.00%(0.25%×4回)の利上げを行うとの見方が優勢です。RBAとRBNZの先行きの金融政策に関する市場の見方を踏まえれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移する可能性があります。<八代>

今週の注目通貨ペア④:<メキシコペソ/円 予想レンジ:8.900円~9.300円>
BOM(メキシコ中銀)は7日の会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を6.75%から6.50%へと引き下げました。BOMによる利下げは2会合連続で、24年3月以降15回目です。

BOMは声明で「(今回の会合で)政策金利をさらに引き下げ、それをもって24年3月に開始した利下げサイクルを終了することが適切だと判断した」と説明。今後の金融政策運営については、「政策金利を(現行水準に)維持することが適切だと見込んでいる」とし、政策金利を当面据え置く方針を示しました。

BOMの政策金利は主要な中銀と比べてなお高い水準です。BOMが利下げサイクルの終了を示唆したことで、その状況は今後も維持されるとみられます。政策金利面からみれば、メキシコペソは底堅い展開になりそうです。

本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)には注意が必要です。仮に追加の介入があれば、クロス円であるメキシコペソ/円は米ドル/円の下落に引きずられると考えられます。<八代>

西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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