マネースクエア マーケット情報

“ウォーシュ議長”に逆風となりそうな米経済情勢

2026/05/08 08:02

【ポイント】
・上院でのウォーシュ氏承認の採決は5月16日に間に合いそう
・景気や物価の現状は利下げ派にとって逆風!?
・6月16‐17日のFOMCではどんな結果が?

次期FRB議長に指名されたウォーシュ元理事は4月29日の上院銀行委員会で承認されました。早ければ、次週11日にも上院本会議で承認される可能性があります。5月15日のパウエル議長の任期満了を受けて空白期間なしにウォーシュ新議長が誕生しそうです。

現在の米景気や物価の現状は利下げ派にとって逆風でしょう。

3月PCE(個人消費支出)デフレーターは前年比3.5%、食料とエネルギーを除くPCEコアは同3.2%と、いずれも前月(2.8%、3.0%)から伸びが高まりました。イラン戦争が始まる相当前からジリジリと伸びが高まっているようにも見えます。

米PCEデフレーター

景気関連指標もイラン戦争が継続するなかで、さほど悪化していないか、なかには4月コンファレンスボード消費者信頼感指数のように3カ月連続で上昇したものもあります。アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、5月7日時点で、4-6月期GDPは前期比年率3.7%と高い伸びが予測されています(←前期2.0%←前々期0.5%)。もちろん、現在のGDPNowは入力データが少ないため、今後のデータ次第では予測値が大きく変わる可能性はあります。まずは、本日8日の4月雇用統計に要注目です。

米GDP内訳

4月28-29日のFOMCでは政策金利の据え置きが決定されましたが、3人のメンバーがフォワードガイダンスの利下げバイアスに反対しました。同様の考えを持つ、投票権を持たない参加者もいたようです。7日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は10月のFOMCまではわずかながら利下げを織り込んでいます。ただ、その後は「利上げ含み」に転じており、27年4月までには0.25%の利上げを4割強織り込んでいます。

米金融政策見通しOIS

次回FOMCは6月16-17日に開催されます。それまでに中東情勢も含めて状況は大きく変わる可能性はあります。ただ、“ウォーシュ議長”は、強く利下げを求めるトランプ大統領と、現時点で利下げバイアスさえも良しとしないメンバーとの板挟みで就任早々から難しい政策運営を迫られるかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ