マネースクエア マーケット情報

米FOMCプレビューと召喚状問題

2026/03/17 07:59

【ポイント】
・中東情勢を受けて市場の利下げ観測は大きく後退
・声明文やドット・プロットは市場の見方をサポートするか
・パウエル議長が理事に留まる可能性も

米FRB(連邦準備制度理事会)が金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)が17-18日に開催されます。日本時間19日午前3時に結果が判明。声明文と経済金融見通し(※)が発表されます。そして、同日午前3時30分からパウエル議長が記者会見を行います。

※FOMC参加者全員の政策金利見通し=ドット・プロットを含む

前回1月27-28日のFOMCでは、10対2で据え置きが決定されました。ミラン理事ウォラー理事が0.25%の利下げを主張。今回も同様の主張をする可能性があります。ミラン理事は、正式な任期は今年1月末まででしたが、後任(議長含みのウォーシュ元理事)が承認されていないため、理事職にとどまっています。

■1月29日付け「米FOMCは据え置き、パウエル議長は多くを語らずも・・・」

原油価格が高騰しているため、インフレ懸念から利下げ観測は大きく後退しています。16日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、今回と次回4月のFOMCでの利下げ確率を市場はほぼゼロとみています。新議長の下で初となるはずの(※後述)6月のFOMCでも5割弱(=メインシナリオは据え置き)。0.25%利下げ1回分が完全に織り込まれているのは、ようやく今年12月です。

*******
今回のFOMCでの注目点は以下。

政策金利の据え置きはほぼ確実でしょう。さすがに利上げを主張するメンバーはいないでしょうが、利下げ主張は何人いるでしょうか。

前回の声明文では、「景気はしっかりしたペース」、「失業率は安定化の兆候」など景況判断が上方修正されましたが、今回はどうか。2月雇用統計が弱かっただけに(NFP=非農業部門雇用者数が前月比9.2万人減少)、下方修正もありえそう。逆に、インフレについては前回同様「いくぶん高止まりしている」で済むのかどうか。

パウエル議長は前回の記者会見で、政策金利はやや緩和的、あるいは中立だとして、「景気と物価のリスクに対して対応できる好位置にある」と述べました。その判断は変わらないでしょうか。

前々回昨年12月10日のFOMC(0.25%利下げ)後に公表されたドット・プロット(中央値)では、26年中に0.25%利下げ1回、27年中に同1回、28年は据え置きであり、長期見通し(中立と考えられる水準)は3.00%でした。ただし、FOMC参加者19人の見通しはバラつきが大きく、26年の政策金利の予想レンジは2.125%~3.875%でした。今回はどんな結果になるでしょうか。

イラン戦争によって、状況は非常に不透明であるため、GDP(国内総生産)や失業率PCE(個人消費支出)デフレーターに関するFOMC参加者の予想も昨年12月から変化しているかもしれません。

*******
金融政策のサイドストーリーとして展開しているのが、パウエル議長への召喚状と、これに関連したウォーシュ氏の議長指名承認の問題です。FRB本部改修工事の費用増大と、これに関してパウエル議長が議会で虚偽の証言をしたとして、今年1月11日に司法省から大陪審への召喚状がFRB(とパウエル議長)に送付されました。

米連邦地裁は14日、司法省がFRB(パウエル議長)に送付した召喚状が政治的動機に基づく不適切なものだとの判断を示しました。これに対して、司法省は16日に控訴した模様です。

上院銀行委員会のティリス議員(共和党)は、召喚状問題が解決するまで、トランプ政権が次期議長に指名したウォーシュ元理事の承認を含む全てのFRB人事を凍結する意向を表明しています。そのため、召喚状問題が長期化すれば、ウォーシュ新議長の就任が遅れる可能性もあります。

また、裁判所の記録によれば、FRB側の弁護士は、この問題が解決するまでパウエル議長は理事に留まる意向だと伝えたようです。FRBの中央銀行としての独立性を守るためとのこと。パウエル議長の任期は今年5月15日までですが、理事の任期は28年1月までです。仮に、パウエル議長が理事にとどまれば、ウォーシュ氏が議長/理事に承認されても、トランプ政権寄りとみなせる理事は、ウォーシュ氏、ウォラー理事(トランプ1期目に指名)、ボウマン副議長(昨年理事から昇格)の3人。7人の理事の過半数に届きません

召喚状問題とFRB人事にも要注目でしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ