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イラン新指導者の声明でリスクオフ&原油高に

2026/03/13 09:10

【ポイント】
・リスクオフが一段と強まるか
・原油価格はさらに上昇するか
・米経済指標で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・本邦当局者は“円安(米ドル/円の上昇)”をけん制するトーンを強めるか

(欧米市場レビュー)

12日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。米ドル/円は一時159.391円へと上昇し、1月14日以来およそ2カ月ぶりの高値を記録。米ドル/カナダドルは1.36777カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.27881シンガポールドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15072ドル、英ポンド/米ドルは1.33384ドル、豪ドル/米ドルは0.70646米ドルへと下落する場面がありました。イランの新たな指導者に選出されたモジタバ師がホルムズ海峡の封鎖継続や米国・イスラエルに対して徹底抗戦する姿勢を示したことを受け、リスクオフ(リスク回避)が強まったことが米ドル高要因となりました。

モジタバ師は国営テレビを通じて声明を発表し、ホルムズ海峡の封鎖について「敵に圧力をかける手段として継続すべきだ」と表明。また、「殉​教者が流した血の復讐をためらわない」、「中東地域にある米軍基地は攻撃対象となる」としました。

ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.96475スウェーデンクローナへと上昇し、25年6月中旬以来およそ9カ月ぶりの高値をつけました。原油価格が上昇したことが、産油国の通貨であるノルウェークローネにとってのプラス材料となりました。

TCMB(トルコ中銀)は政策会合を開き、政策金利を37.00%に据え置くことを決定しました。TCMBが政策金利を据え置いたのは25年6月以来6会合ぶりで、前回26年1月までは5会合連続で利下げを行っていました。

TCMBは声明で今回の決定について「地政学的な動向を背景に不確実性が高まるなか、世界的なリスク許容度は低下し、エネルギー価格は上昇した」とし、「こうした要因がインフレ見通しに及ぼすリスクを抑制するため」と説明。「地政学的な動向が、コスト経路や経済活動を通じてインフレ見通しに及ぼす影響を注視していく」と付け加えました。

TCMBの政策決定や声明に対するトルコリラの反応は限定的でした。

(本日の相場見通し)

本日は引き続き中東情勢に目を向ける必要がありそう。イラン戦争が長期化する、あるいは激化するとの懸念が市場で一段と高まれば、リスクオフがさらに強まる可能性があります。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移すると考えられます。米ドル/シンガポールドルは、200日移動平均線(本日時点で1.28289シンガポールドル)が目先の上値メドです。

原油価格の動向にも引き続き注目です。米WTI原油先物の中心限月4月物は12日、前日比8.48ドル高(9.7%)の1バレル=95.73ドルで取引を終了。上述のモジタバ師の声明を受けてホルムズ海峡の封鎖が長期化するとの懸念が強まり、WTI原油先物の上昇要因となりました。

WTI原油先物は12日午後(日本時間13日午前)の時間外取引でさらに上昇し、一時98ドル近辺をつけました。原油価格が引き続き堅調に推移する場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは上値を試す展開になりそうです。

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米国の経済指標の結果にも市場が反応する可能性があります。

市場予想は以下のとおりです。
・25年10-12月期GDP改定値(前期比年率換算):1.4%
・26年1月PCE(個人消費支出)デフレーター(前年比):2.9%
・同PCEコアデフレーター(前年比):3.1%
・1月JOLTS(労働動態調査)求人件数:675.0万件
・3月ミシガン大学消費者信頼感指数:54.6

足もとの原油高を受け、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げ観測が後退しました。本日発表の米経済指標が市場予想と比べて強い結果になれば、追加利下げ観測が一段と後退するとともに、米ドルにとってのプラス材料になりそうです。

※市場のFRBの追加利下げ観測については、本日の『ファンダメ・ポイント』[ウォーシュ氏を正式指名、上院の承認は?]をご覧ください。

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米ドル/が上昇傾向となるなか、本邦当局の反応が注目されます。

片山財務相は3日に為替の動向について「非常に高度の緊張感を持ってウォッチしている」、「各国と緊密な連携を取って情勢を見極めながら、必要であれば必要な対応を取っていく」と発言。4日には「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい」と語りました。それ以降、米ドル/円が一段と上昇して1月中旬の高値に接近するなか、片山財務相ら本邦当局者から“円安(米ドル/円の上昇)”をけん制するような発言は特に出ていません。

仮に本邦当局者が これまでよりも“円安“をけん制するトーンを強めた場合、米ドル/円はいったん下落しそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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