マネースクエア マーケット情報

原油高のインフレ圧力:米CPIへの影響を試算

2026/03/10 08:49

【ポイント】
・原油価格は乱高下、状況は予断を許さず
・原油価格100ドルが続けば、米CPIは前年比3%前後か
・エネルギー以外への波及も考慮すれば、FRBは利下げに慎重!?

9日、原油価格が乱高下しました。WTI原油先物価格はアジア時間に1バレル=120ドル近辺まで上昇。その後100ドル前後へと緩やかに反落しましたが、米国時間(日本時間10日午前4時すぎに急落、80ドルに接近しました。

G7財務相会合石油備蓄を放出する用意があると発表されたこと、トランプ大統領がイラン攻撃は「ごく短期に」終結するとの見通しを示したことなどが原油価格下落の材料となりました。

このまま原油価格が落ち着けば、物価上昇圧力は限定的となるかもしれません。もっとも、イランの無条件降伏を求めていたトランプ大統領がこのまま矛を収めるのか、反米とされるモジタバ師が最高指導者となったイランの反攻はないのか、ホルムズ海峡の封鎖が解除されるのか、など不透明要因が多く、原油価格が落ち着くかどうかは予断を許しません。

*******
仮に、WTI原油価格が100ドルを維持するとして、米CPIへの影響を試算しました。過去10年間のWTI原油価格とCPIエネルギーの回帰分析によれば、WTI原油価格が前年比10%上昇すると、CPIエネルギーは2.38%上昇します。CPIにおけるエネルギーのウェイトは6.383%(25年12月時点)。

原油価格が100ドルを維持すれば、前年比でみれば今年いっぱい40%~70%超の上昇率となり(最大で12月に74%上昇)、CPIを1%前後押し上げます。そのため、エネルギーを除くCPIがFRBの目標である2%を達成することができたとしても(今年1月のCPI寄与度は2.4%)、CPI総合は3%近い上昇率が続くと試算できます。

CPIとWTI

したがって、エネルギー価格からその他の価格への波及も考慮すれば、FRBは利下げには慎重にならざるを得ないでしょう。なお、9日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は6月FOMCあるいはそれ以前の利下げをほぼ五分五分とみています(原油価格の急落はあまり反映されていないでしょうが)。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ