原油価格が急伸、米WTI原油先物は22年7月以来の高値
2026/03/09 08:50
【ポイント】
・中東からの原油供給をめぐる懸念が原油価格を押し上げ
・本日9日午前はリスクオフで米ドルが堅調
・米ドル/円が上昇するなか、本邦当局者の反応
(欧米市場レビュー)
6日、欧米時間の外為市場ではカナダドルやノルウェークローネが堅調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.35658カナダドルへと下落し、カナダドル/円は116.276円、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(ノックセック)は0.95938スウェーデンクローナへと上昇しました。原油価格が上昇したことが、カナダドルやノルウェークローネの上昇要因となりました。
米WTI原油先物の中心限月4月物は、前日比9.89ドル高(12.21%)の1バレル=90.90ドルで取引を終了。トランプ米大統領のSNSへの投稿やメディア報道を受けて、中東からの原油供給をめぐる懸念が一段と高まり、原油価格を押し上げました。
トランプ大統領は6日、自身のSNSに「イランとの合意は無条件降伏以外あり得ない」と投稿。また、同じく6日には米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が「クウェートが原油の貯蔵タンク(貯蔵余力)が残りわずかになったため一部油田で減産を開始した」と報じ、カタールのカアビ・エネルギー相は英紙FT(フィナンシャル・タイムズ)のインタビューで「中東情勢が一段と悪化すれば、湾岸産油国が数週間以内に輸出停止に追い込まれる可能性がある」と述べました。
米ドルは軟調。一時米ドル/円は157.313円、米ドル/シンガポールドルは1.27685シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16159ドル、英ポンド/米ドルは1.34077ドル、豪ドル/米ドルは0.70419米ドルへと上昇しました。米国の2月雇用統計は失業率が4.4%、非農業部門雇用者数が前月比9.2万人減と、いずれも市場予想(それぞれ4.3%と5.5万人増)と比べて弱い結果でした。それを受けて市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げ観測が高まり、米ドルにとってマイナス材料となりました。
米雇用統計について詳しくは、7日の『ファンダメ・ポイント』[2月米雇用統計は9.2万人減、失業率は上昇。6月利下げ観測復活⁉]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
米WTI原油先物は日本時間本日朝の時間外取引で急伸。中心限月4月物は一時1バレル=111.24ドルへと上昇し(6日の清算値から22%高)、中心限月として22年7月以来の高値をつけました。午前8時40分時点では106ドル台で推移しています。
中東情勢が一段と緊迫化するとの懸念が高まったことが原油価格をさらに押し上げました。トランプ大統領は7日、エアフォースワン(大統領専用機)内で記者団に対し、正当な理由があれば米軍の地上部隊をイランに派遣することもあり得ると述べました。イスラエルは8日、レバノンの首都ベイルートのイラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊幹部の居所を攻撃したと発表。イランは9日、ハメネイ師の次男であるモジタバ・ハメネイ師を新たな最高指導者に選出しました。モジタバ師は反米強硬派とされており、トランプ大統領は5日に最高指導者としてモジタバ師は受け入れられないと述べていました。
本日のオセアニア・東京時間の外為市場では米ドルが全面高の展開。一時米ドル/円は158.300円台、米ドル/カナダドルは1.36000近辺、米ドル/シンガポールドルは1.28200シンガポールドル近辺へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15200ドル近辺、豪ドル/米ドルは0.69700米ドル近辺へと下落しました(日本時間08:30時点)。リスクオフ(リスク回避)が米ドル堅調の要因になっていると考えられます。
中東情勢には引き続き要注意。原油価格が一段と上昇する場合にはカナダドルやノルウェークローネが引き続き堅調に推移し、リスクオフがさらに強まる場合には米ドル高が一段と進みそうです。
足もとで“円安(米ドル/円の上昇)”が再び進行するなか、本邦当局の反応にも注目です。片山財務相は4日、為替について「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい」、「日々の市場動向をいつも以上に十分に注視する」、「為替に関する日米財務相の声明には介入も選択肢に含まれる」と述べました。片山財務相や三村財務官ら本邦当局者が為替について発言し、それを“円安”けん制のトーンが強くなったと市場が受け止めれば、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。
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