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「平和評議会」が地政学リスクを高める?

2026/01/23 08:04

【ポイント】
・米国主導の「平和評議会」が22日発足
・トランプ大統領に強大な権限が集中!?
・主要国の多くは参加を見送り/保留
・平和評議会が地政学リスクを高めかねない⁉

トランプ大統領が引き起こしたグリーンランド問題にやや明るさが見えてきた矢先、トランプ大統領が再び国際社会を動揺させています。

22日、世界経済フォーラムが開催されているスイスのダボスで、「平和評議会(Board of Peace)」が発足しました。トランプ大統領が提唱した国際機関で、元々はパレスチナ自治区ガザの暫定統治を行うとして国連から承認されたものでした。しかし、その憲章では、紛争のある、またはその惧(おそ)れがある地域で、安定的・合法的な統治を回復、永続的な平和を確保する旨が示されており、「ガザ」という言葉はないようです。(平和評議会についてはまだ情報が乏しく、本稿は日経新聞や生成AIを参考にしました)。

トランプ政権は、平和評議会が国連に代わるものではなく、国連を補完するものと説明しています。しかし、国連の機能不全を批判してきたトランプ大統領がパレスチナ問題を超えて様々な紛争に影響力を行使しようとしているのは明らかでしょう。

平和評議会へ参加するよう60カ国程度が招待されたようですが、これに応えたのは35カ国程度(後掲資料)とのこと。現時点で、主要国の多くは参加を見送るか、保留しています。

問題はその仕組みでしょう。最高位の議長をトランプ大統領が務め、本人の意思、あるいは全会一致(米国を含む?)のケースを除いて解任されることはないようです(事実上の終身議長!)。そして、議長には、執行部の決定に対する拒否権(いつでも行使可能)や、メンバー国の選定、下部組織の設置・解散など強大な権限があるようです。日経新聞が「トランプ国連」と揶揄するゆえんでしょう。

平和評議会に多くの国が参加して大きな力を持てば、トランプ大統領が自身の思うように世界を動かすことができるでしょう。一方で、平和評議会への参加を見送る国が多ければ(現状のままであれば)、トランプ大統領が癇癪(かんしゃく)を起こして不参加の国に対して様々な形で圧力をかけるかもしれません。事実、不参加の意向を表明したフランスに対して、トランプ大統領はシャンパンに200%の関税を課すと警告しました。さすがに「平和」評議会が「軍事」衝突のタネになることはないでしょうが、地政学リスクを高める可能性はありそうです。

■発足式典に出席した20カ国
民主主義国家:米国、アルゼンチン、ブルガリア、コソボ、アルメニア、パラグアイ
権威主義国家:アゼルバイジャン、ハンガリー、インドネシア、カザフスタン、パキスタン、トルコ、モンゴル、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、UAE、ウズベキスタン
出所:日経新聞(上記分類はスウェーデンのV-Dem研究所)

■その他の参加国(生成AI調べ)
ベラルーシ、エジプト、ベトナム
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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