米雇用統計:労働市場は軟調、金融政策見通しに著変ナシ!?
2025/12/17 06:53
【ポイント】
・NFPは10月に10.5万人減、11月に6.4万人増
・失業率は11月に4.6%と、9月の4.4%から上昇
・民間雇用は低水準ながらも比較的底堅く推移
・次の利下げは26年3月との市場のメインシナリオに大きな変化なし
米国の11月雇用統計が発表されました。NFP(非農業部門雇用者数)は前月から小幅に増加したものの、10月分が比較的大きなマイナスだったことで、雇用の軟調が示されました。また、失業率は4.6%と9月の4.4%からさらに上昇しました(10月分はデータなし)。
雇用統計の発表を受けて、長期金利(10年物国債利回り)は低下したあとにいったん反発しましたが、その後に再び低下。米ドル/円は154円台後半で揉み合い。NYダウは下落しました(日本時間17日午前7時現在)。
今回の雇用統計では、労働市場の軟調がある程度確認されました。ただし、データが不完全かつ歪んでいる可能性があるうえ、NFP民間は比較的底堅く推移しているため、もう少しデータをみる必要があるかもしれません。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利下げ(0.25%幅)は、次回26年1月のFOMCで2割強、同3月で6割強。雇用統計発表前とさほど変化していません(日本時間同上)。
*******
11月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比6.4万人増。新たに発表された10月分は同10.5万人減と、20年12月(18.3万人減)以来の大幅なマイナスとなりました。

もっとも、10月の雇用減少は、政府部門が15.7万人減少したことが原因です(※1)。民間部門の雇用は以前に比べれば弱めながら、足下で急激に悪化しているようにはみえません。引き続き状況を見守る必要がありそうです。
※1シャットダウン(政府機能の一部停止)によって自宅待機となった連邦政府職員は遡って給料が支払われるため、ここでは「雇用者」としてカウントされます。したがって、10月の政府部門の減少は自発的に離職した、あるいは解雇された職員が多かったことを示しています。一方、政府部門と取引関係にあってシャットダウン期間中に給料が支払われなかった人は「雇用者」とはカウントされません。

時間当たり賃金は前年比3.5%増と、ややペースダウン。<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比4.3%増と、こちらもややペースダウンしているものの、時間当たり賃金同様にインフレ率を上回って推移しています。


家計調査(※2)に基づく失業率は4.6%と、9月から0.2%上昇。小数点以下2位までみると、11月は4.56%で、9月は4.44%。FOMCが自然失業率とみなす水準の中央値4.2%および中心レンジ(4.0~4.3%)から少しずつ上放れしています。
※2 シャットダウンにより家計への聞き取り調査ができなかったため、10月はデータがありません。

労働参加率<労働力人口÷生産年齢人口>は62.5%と9月から0.1ポイント上昇。労働参加率は23年末ごろの62.8%をピークに低下基調でしたが、下げ止まりつつあるのかもしれません。
・NFPは10月に10.5万人減、11月に6.4万人増
・失業率は11月に4.6%と、9月の4.4%から上昇
・民間雇用は低水準ながらも比較的底堅く推移
・次の利下げは26年3月との市場のメインシナリオに大きな変化なし
米国の11月雇用統計が発表されました。NFP(非農業部門雇用者数)は前月から小幅に増加したものの、10月分が比較的大きなマイナスだったことで、雇用の軟調が示されました。また、失業率は4.6%と9月の4.4%からさらに上昇しました(10月分はデータなし)。
雇用統計の発表を受けて、長期金利(10年物国債利回り)は低下したあとにいったん反発しましたが、その後に再び低下。米ドル/円は154円台後半で揉み合い。NYダウは下落しました(日本時間17日午前7時現在)。
今回の雇用統計では、労働市場の軟調がある程度確認されました。ただし、データが不完全かつ歪んでいる可能性があるうえ、NFP民間は比較的底堅く推移しているため、もう少しデータをみる必要があるかもしれません。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利下げ(0.25%幅)は、次回26年1月のFOMCで2割強、同3月で6割強。雇用統計発表前とさほど変化していません(日本時間同上)。
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11月雇用統計では、事業所調査のNFP(非農業部門雇用者数)は前月比6.4万人増。新たに発表された10月分は同10.5万人減と、20年12月(18.3万人減)以来の大幅なマイナスとなりました。

もっとも、10月の雇用減少は、政府部門が15.7万人減少したことが原因です(※1)。民間部門の雇用は以前に比べれば弱めながら、足下で急激に悪化しているようにはみえません。引き続き状況を見守る必要がありそうです。
※1シャットダウン(政府機能の一部停止)によって自宅待機となった連邦政府職員は遡って給料が支払われるため、ここでは「雇用者」としてカウントされます。したがって、10月の政府部門の減少は自発的に離職した、あるいは解雇された職員が多かったことを示しています。一方、政府部門と取引関係にあってシャットダウン期間中に給料が支払われなかった人は「雇用者」とはカウントされません。

時間当たり賃金は前年比3.5%増と、ややペースダウン。<雇用者数×週平均労働時間×時間当たり賃金>で求められる総賃金指数は前年比4.3%増と、こちらもややペースダウンしているものの、時間当たり賃金同様にインフレ率を上回って推移しています。


家計調査(※2)に基づく失業率は4.6%と、9月から0.2%上昇。小数点以下2位までみると、11月は4.56%で、9月は4.44%。FOMCが自然失業率とみなす水準の中央値4.2%および中心レンジ(4.0~4.3%)から少しずつ上放れしています。
※2 シャットダウンにより家計への聞き取り調査ができなかったため、10月はデータがありません。

労働参加率<労働力人口÷生産年齢人口>は62.5%と9月から0.1ポイント上昇。労働参加率は23年末ごろの62.8%をピークに低下基調でしたが、下げ止まりつつあるのかもしれません。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
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