米FOMCの注目点①:景気・物価判断とADP
2025/12/04 07:23
【ポイント】
・ADPなど雇用関連は弱さが目立つ
・景気全体や物価動向を判断する材料には乏しい
・利下げの可能性が高そうだが、据え置きを求める声もありそう
11月ADP雇用統計が軟調だったことで、12月9-10日FOMCでの利下げが一段と確実視されています。FOMC参加者は、目先の金融政策について語れないブラックアウト期間に入っており、また発表される経済指標が乏しいため、FOMCまでに市場の見方が大きく変化する可能性は低そうです。
それでも、FOMCには興味深い点がいくつかあります。今後数回にわたってFOMCの注目点を考察します。
*******
まずは景気・物価の判断です。
経済指標の発表が遅れているため、FOMCの判断材料は通常より少ないと言わざるを得ません。10-11月雇用統計(10月失業率は欠落)は16日、11月CPI(10月分は欠落)は18日、7-9月期GDP速報値は23日と、いずれもFOMC後に発表されます。PCEデフレーターを含む11月個人所得・消費(10月分は欠落)は発表日が決まっていません。
7-9月期GDPについては、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)が1日時点で前期比年率3.9%と好調を予測しています。しかし、通常なら公表される10-12月期の予測はありません。
雇用統計も9月分で止まったままです。ただ、11月ADP雇用(民間のみ)は前月比3.2万人減と過去6カ月で4回目のマイナス。減少幅は23年3月以来の大きさでした。また、11月26日に公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも、雇用の軟調が報告されました。9月の失業率は、FOMCが目標とするレンジ(9月時点の長期見通し4.0%~4.3%)をわずかに上回りました。労働市場は明確に軟化していると判断できそうです。

一方で、物価については判断材料が乏しい状況でしょう。CPIもPCEデフレーターも昨年後半から改善(伸びの鈍化)が止まっているようにみえます。夏頃からはトランプ関税の影響でモノの価格に上昇圧力が加わっている兆候もあったので、足もとでどうなっているか気になるところでしょう。

つまり、9-10日のFOMCで0.25%利下げが決定される可能性はかなり高そうですが、判断材料の欠如やインフレ警戒から据え置きを求める声も相応に出るのではないかと思われます。
5日午後6時ごろ配信のM2TV(YouTube)グローバルViewでは、FOMCの注目点について解説する予定です。ぜひご覧ください。
・ADPなど雇用関連は弱さが目立つ
・景気全体や物価動向を判断する材料には乏しい
・利下げの可能性が高そうだが、据え置きを求める声もありそう
11月ADP雇用統計が軟調だったことで、12月9-10日FOMCでの利下げが一段と確実視されています。FOMC参加者は、目先の金融政策について語れないブラックアウト期間に入っており、また発表される経済指標が乏しいため、FOMCまでに市場の見方が大きく変化する可能性は低そうです。
それでも、FOMCには興味深い点がいくつかあります。今後数回にわたってFOMCの注目点を考察します。
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まずは景気・物価の判断です。
経済指標の発表が遅れているため、FOMCの判断材料は通常より少ないと言わざるを得ません。10-11月雇用統計(10月失業率は欠落)は16日、11月CPI(10月分は欠落)は18日、7-9月期GDP速報値は23日と、いずれもFOMC後に発表されます。PCEデフレーターを含む11月個人所得・消費(10月分は欠落)は発表日が決まっていません。
7-9月期GDPについては、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)が1日時点で前期比年率3.9%と好調を予測しています。しかし、通常なら公表される10-12月期の予測はありません。
雇用統計も9月分で止まったままです。ただ、11月ADP雇用(民間のみ)は前月比3.2万人減と過去6カ月で4回目のマイナス。減少幅は23年3月以来の大きさでした。また、11月26日に公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも、雇用の軟調が報告されました。9月の失業率は、FOMCが目標とするレンジ(9月時点の長期見通し4.0%~4.3%)をわずかに上回りました。労働市場は明確に軟化していると判断できそうです。

一方で、物価については判断材料が乏しい状況でしょう。CPIもPCEデフレーターも昨年後半から改善(伸びの鈍化)が止まっているようにみえます。夏頃からはトランプ関税の影響でモノの価格に上昇圧力が加わっている兆候もあったので、足もとでどうなっているか気になるところでしょう。

つまり、9-10日のFOMCで0.25%利下げが決定される可能性はかなり高そうですが、判断材料の欠如やインフレ警戒から据え置きを求める声も相応に出るのではないかと思われます。
5日午後6時ごろ配信のM2TV(YouTube)グローバルViewでは、FOMCの注目点について解説する予定です。ぜひご覧ください。
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