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英予算案を受けてトリプル高!

2025/11/27 08:03

【ポイント】
・26日、リーブス財務相が秋季予算案(26年度)を発表
・260億ポンドの増税を含むなどの緊縮型を市場は好感
・経済成長策が乏しいなど批判もあり、予算編成でどう変わるか

英国の秋季予算案(26年度)が発表されました。緊縮型予算を市場は好感し、株高、債券高(金利低下)、英ポンド高の「トリプル高」が示現しました。支持率低迷に喘ぎ、党内からも批判を受けているスターマー首相やリーブス財務相は一息つけるかもしれません。

英長期金利

OBR(予算責任局)の分析によれば、予算案は増税260億ポンド(※)を含む一方で、福祉関連支出を160億ドル増加させます。そのうえで、財政規律に対する余力は220億ポンドと、今年3月発表の99億ポンドから拡大するとのこと。

※主な施策は、所得税率階層の基準額(閾値)を3年間凍結すること。

もっとも、5年間の予算期間のうち増税など緊縮策を後半に先送りしていること、課題となっている経済成長策が乏しいことなど批判もあります。今後、26年4月の新年度開始に向けた議会での予算編成の過程で、内容がどのように修正されるか。とりわけ、増税などの財政赤字削減策は成立するか。注視する必要はありそうです。

予算案を受けてBOE(英中銀)の利下げ観測はやや高まりました。26日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、12月18日の会合での0.25%利下げを市場は9割超の確率で織り込んでいます。

なお、OBRは、リーブス財務相の演説後に発表予定だった予算案の分析報告を誤って1時間早く公表し、一時的に金融市場の混乱を招きました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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