米FOMC議事録:議論はやっぱりタカ派寄りだった!?
2025/11/20 07:00
【ポイント】
・政策金利が景気抑制的か否かで見解が分かれた
・多くの参加者は、年内据え置きが適切になりそうと考えた
・ほとんどの参加者は、リスク管理の観点からも利下げに慎重になるべきと判断
・AI(や株高)が労働需要の減少や景気押し上げに寄与しているとの指摘も
10月28-29日開催の米FOMCでは、前回に続いて0.25%利下げが決定されました。パウエル議長は会合後の会見で「かなりの見解の相違があった」と述べ、「12月の利下げは既定路線ではない。それにはほど遠い」と明言。市場の利下げ観測をけん制しました。
議事録からも議論がタカ派寄りだったことがうかがえます。
■10/30付け「米FOMCはタカ派的利下げ、長期金利&米ドル上昇!」
*******
今後の金融政策について
金融政策の先行きを検討するにあたって、現在の政策金利がどの程度、景気抑制的であるかについて幅広い意見が述べられました。数人は、今会合での利下げ後も政策金利は抑制的だと考えました。別の数人は、景気の底堅さ、金融状況の緩和(株高?)、実質政策金利などは政策金利がさほど抑制的でないことを示していると指摘しました。
その結果、12月の会合で利下げが適切かどうかについて、強い見解の相違がみられました。ほとんどの参加者は、ゆくゆくは(複数回の)利下げが適切になると判断しました。しかし、12月に利下げが適切になるとは限らないと述べる参加者がいた一方で、利下げが適切になる可能性が高いと考える参加者もいました。ただ、多くの参加者は、彼らの経済見通し通りなら、年内は政策金利を据え置くことが適切になる可能性が高いとの考えを示しました。
リスク管理の観点
ほとんどの参加者は、政策金利を中立に近づけることで、労働市場が大幅に悪化する可能性を低下させることが可能だと考えました。そのうちの多くは、関税がインフレを押し上げる効果は限定的だとの証左が増えているため、雇用の下方リスクに対応する形で利下げするのが適切だと判断しました。
ほとんどの参加者は、インフレが高水準にとどまり、労働市場の軟化が非常にゆっくりであるため、さらなる利下げは高インフレが続くリスクを高め、FRBが2%の物価目標を重視していないとの誤解を生じさせる可能性があると指摘しました。
その他の注目ポイント
議事録には、景気や物価の議論を中心に、「不透明」が9回登場。前回(11回)より減少したものの、引き続き先行きの不透明感が強いことが示されました。「関税」は11回で前回(12回)とほぼ同じ。新たに「シャットダウン」が7回登場しました。
労働市場の軟調と、GDP(国内総生産)、とくにそのうちPDFP(民間国内最終需要)の底堅さとのかい離が目立っており、その一因はAI活用による労働生産性の上昇だとの指摘がありました。また、企業セクターでは、AIやデータセンターへの投資が活発に行われていると報告されました。
個人消費は総じて底堅いものの、堅調な富裕層と軟調な中低所得層との二極化がみられるとのこと。株高が(資産効果などを通じて)富裕層の消費をサポートしていると指摘されました。
議事録に対する市場の反応
議事録発表後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は12月9-10日FOMCでの利下げを4割弱しか織り込んでいません。前日はほぼ五分五分でした。米ドル/円は一段と上昇して157円台を示現。長期金利(10年物国債利回り)は上昇。NYダウはいったん前日比マイナスに沈み、その後に反発しました。<日本時間20日午前7時現在>
・政策金利が景気抑制的か否かで見解が分かれた
・多くの参加者は、年内据え置きが適切になりそうと考えた
・ほとんどの参加者は、リスク管理の観点からも利下げに慎重になるべきと判断
・AI(や株高)が労働需要の減少や景気押し上げに寄与しているとの指摘も
10月28-29日開催の米FOMCでは、前回に続いて0.25%利下げが決定されました。パウエル議長は会合後の会見で「かなりの見解の相違があった」と述べ、「12月の利下げは既定路線ではない。それにはほど遠い」と明言。市場の利下げ観測をけん制しました。
議事録からも議論がタカ派寄りだったことがうかがえます。
■10/30付け「米FOMCはタカ派的利下げ、長期金利&米ドル上昇!」
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今後の金融政策について
金融政策の先行きを検討するにあたって、現在の政策金利がどの程度、景気抑制的であるかについて幅広い意見が述べられました。数人は、今会合での利下げ後も政策金利は抑制的だと考えました。別の数人は、景気の底堅さ、金融状況の緩和(株高?)、実質政策金利などは政策金利がさほど抑制的でないことを示していると指摘しました。
その結果、12月の会合で利下げが適切かどうかについて、強い見解の相違がみられました。ほとんどの参加者は、ゆくゆくは(複数回の)利下げが適切になると判断しました。しかし、12月に利下げが適切になるとは限らないと述べる参加者がいた一方で、利下げが適切になる可能性が高いと考える参加者もいました。ただ、多くの参加者は、彼らの経済見通し通りなら、年内は政策金利を据え置くことが適切になる可能性が高いとの考えを示しました。
リスク管理の観点
ほとんどの参加者は、政策金利を中立に近づけることで、労働市場が大幅に悪化する可能性を低下させることが可能だと考えました。そのうちの多くは、関税がインフレを押し上げる効果は限定的だとの証左が増えているため、雇用の下方リスクに対応する形で利下げするのが適切だと判断しました。
ほとんどの参加者は、インフレが高水準にとどまり、労働市場の軟化が非常にゆっくりであるため、さらなる利下げは高インフレが続くリスクを高め、FRBが2%の物価目標を重視していないとの誤解を生じさせる可能性があると指摘しました。
その他の注目ポイント
議事録には、景気や物価の議論を中心に、「不透明」が9回登場。前回(11回)より減少したものの、引き続き先行きの不透明感が強いことが示されました。「関税」は11回で前回(12回)とほぼ同じ。新たに「シャットダウン」が7回登場しました。
労働市場の軟調と、GDP(国内総生産)、とくにそのうちPDFP(民間国内最終需要)の底堅さとのかい離が目立っており、その一因はAI活用による労働生産性の上昇だとの指摘がありました。また、企業セクターでは、AIやデータセンターへの投資が活発に行われていると報告されました。
個人消費は総じて底堅いものの、堅調な富裕層と軟調な中低所得層との二極化がみられるとのこと。株高が(資産効果などを通じて)富裕層の消費をサポートしていると指摘されました。
議事録に対する市場の反応
議事録発表後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は12月9-10日FOMCでの利下げを4割弱しか織り込んでいません。前日はほぼ五分五分でした。米ドル/円は一段と上昇して157円台を示現。長期金利(10年物国債利回り)は上昇。NYダウはいったん前日比マイナスに沈み、その後に反発しました。<日本時間20日午前7時現在>
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