豪ドル/NZドルが一時1.16NZドル台へ上昇、12年ぶりの高値
2025/11/14 09:20
【ポイント】
・主要国の株価がどうなるか
・豪中銀とNZ中銀の金融政策スタンスや市場の金融政策見通しに違い
(欧米市場レビュー)
13日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は154.093円、米ドル/シンガポールドルは1.29876シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16507ドル、英ポンド/米ドルは1.32143ドルへと上昇しました。ポジション調整が中心との見方があります。
東京時間に発表された豪州の10月雇用統計は、失業率が4.3%、雇用者数が前月比4.22万人増と、いずれも市場予想(4.4%と2.00万人増)よりも強い結果になりました。その結果を受けて豪ドル/NZドルは一時1.16349NZドルへと上昇し、13年9月以来およそ12年ぶりの高値を更新しました。その後、欧州時間に入ると豪ドル/NZドルは上げ幅を縮小し、豪雇用統計発表前の水準にほぼ戻りました(*豪ドル/NZドルについては後述)。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は[シャットダウンの後遺症]です。
(本日の相場見通し)
本日は日米欧など主要国の株価動向に注目です。
13日の米株式市場では、主要な株価指数が大きく下落。ダウは前日比797.60ドル安(-1.65%)の47,457.22ドル、ナスダックは同536.10ポイント安(-2.29%)の22,870.35ポイント、S&P500は同113.43ポイント安(-1.66%)の6,737.49ポイントでそれぞれ取引を終了しました。
FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者が追加利下げに慎重な姿勢を示した(※)ことでFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げ観測が後退し、株価の重石となったようです。CMEのFedWatchツールによると、13日時点で市場が織り込む次回12月9-10日のFOMCでの利下げ確率は約5割。12日時点の利下げ確率は約63%でした。
主要国の株価が本日軟調に推移すれば、リスクオフ(リスク回避)が強まりそうです。その場合には円が強含んで、豪ドル/円やNZドル/円など対円の通貨ペアが軟調に推移すると考えられます。
(※)ハマック・クリーブランド連銀総裁は「現在のFRBの政策は、“やや(景気)抑制的”な水準よりも“中立”に近い水準だ」、「金融政策はインフレを抑制できる状態を維持すべきだ」、「政策金利は現行水準に維持する必要があると思われる」と述べました。ムサレム・シカゴ連銀総裁は「(米国の)インフレ率は依然として高過ぎる」とし、「今は政策を慎重に進める必要がある」と語りました。
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中国の経済指標が複数発表されます(いずれも日本時間11:00)。それらの結果が材料になるかもしれません。
市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
・小売売上高(前年比):2.8%(3.0%)
・鉱工業生産(前年比):5.5%(6.5%)
・固定資産投資(前年比):マイナス0.8%(マイナス0.5%)
中国の経済指標が市場予想と比べて弱い結果になれば、同国の景気減速への懸念が市場で強まる可能性があります。豪州とNZにとって中国は最大の輸出先であり、豪州は輸出総額の約3割、NZは約4分の1を中国向けが占めます。中国景気をめぐる懸念が強まることは、豪ドルやNZドルがとってのマイナス材料になると考えられます。
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豪ドル/NZドルは13日に約12年ぶりの高値を更新しました。
足もとの豪ドル/NZドル上昇の要因として、“RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンス”や“市場の両中銀の金融政策見通し”の違いが挙げられます。
<RBAは追加利下げに慎重!? RBNZはさらなる利下げを示唆>
RBAは前回11月3-4日の政策会合で政策金利を3.60%に据え置くことを決定。RBAの声明では、「最近のインフレに関するデータは、経済に依然としてインフレ圧力が幾分残っている可能性を示している」とし、「慎重な姿勢を維持し、データの変化に応じて見通しを更新していくことが適切」と改めて表明。ブロック総裁は会合後の会見で「これ以上の利下げがない可能性も、さらに利下げする可能性もある」と述べました
RBNZは前回10月8日の政策会合で0.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を3.00%から2.50%へと引き下げました。RBNZの声明では、「中期的にインフレ率が目標中間値の2%付近で持続的に安定するために必要な場合、政策金利のさらなる引き下げを検討する」と表明されました。
<市場のRBAとRBNZの金融政策見通し>
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場ではRBAは当面政策金利を据え置くとの見方が優勢。一方でRBNZについては、市場は次回11月26日の会合での0.25%の利下げを完全に織り込んでおり、より大幅な0.50%の利下げも1割程度織り込んでいます。
11月26日のRBNZ会合では、どの程度の利下げが行われるのか、またRBNZによる政策金利見通しなどを受けて先行きの金融政策について市場の見方がどのように変化するのかが注目されます。
26日には豪州の10月CPIも発表されます。CPIの結果を受けて市場のRBA金融政策見通しがどのように変化するのかにも注目です。
※RBNZ会合については、12日収録の『M2TV 資源・新興国マーケットView』[BOCは利下げ終了!? RBNZの利下げは?]もご覧ください。
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