(アップデート)円が軟調、ユーロ/円は史上最高値更新
2025/11/13 09:40
日本時間午前9時30分に発表された豪州の10月雇用統計は、市場予想と比べて強い結果でした。それを受けて豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルが上昇しています。
雇用統計の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・失業率:4.3%(4.4%)
・雇用者数(前月比):4.22万人増(2.00万人増)
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以下は午前9時に配信したものです。
【ポイント】
・主要国の株価が堅調に推移するか
・英GDPなどでBOEの追加利下げ観測が高まるか
・豪雇用統計で市場のRBA金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では円が軟調に推移。ユーロ/円は一時179.441円へと上昇し、99年1月のユーロ導入後の最高値を更新。一時米ドル/円は154.997円、豪ドル/円は101.275円へと上昇し、それぞれ25年2月上旬以来、24年11月中旬以来の高値をつけました。米国のシャットダウン(米政府機能の一部停止)解消への期待が高まり、またNYダウが堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)が強まったことが円安圧力となりました。ダウは前日比326.86ドル高(0.68%)の48,254.82ドルで取引を終え、史上最高値を更新しました。
ノルウェークローネも軟調。原油価格の下落がノルウェークローネにとってのマイナス材料となり、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.93683スウェーデンクローナへと下落しました。
原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は前日比2.55ドル安(-4.18%)の1バレル=58.49ドル、北海ブレント先物は同2.44ドル安(-3.74%)の1バレル=62.72ドルで取引を終了。OPEC(石油輸出国機構)が11月の月報で、世界の原油市場について26年に小幅な供給過剰になるとの見通しを示したことが、原油価格に対する下押し圧力となりました。
(本日の相場見通し)
本日は引き続き、日米欧など主要国の株価動向が材料になる可能性があります。主要国の株価が堅調に推移すれば、リスクオンが一段と強まるとともに、米ドル/円やユーロ/円など対円の通貨ペアは上値を試す展開になるかもしれません。
本邦当局による円安けん制には注意が必要です。片山財務相は12日、足もとの為替の動向について「一方的で急激な動きがみられる」とし、「投機的な動向を含め、為替の過度な変動や無秩序な動きについて、高い緊張感を持って見極めている」と改めて述べました。また、円安が経済に与える影響はプラス面とマイナス面があるとしたうえで「マイナス面が目立ってきていることは否定しない」と語りました。
本邦当局による円安けん制のトーンが一段と強まれば、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。
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英国の7-9月期GDP(国内総生産)速報値や9月鉱工業生産が本日発表されます(日本時間16:00)。それらの結果に英ポンドが反応しそうです。
各経済指標の市場予想は以下のとおり。( )はGDPが4-6月期確報値、鉱工業生産が8月の実績です。
・7-9月期GDP(前期比):0.2%(0.3%)
・9月鉱工業生産(前月比):マイナス0.2%(プラス0.4%)
・9月鉱工業生産(前年比):マイナス1.3%(マイナス0.7%)
市場では、BOE(英中銀)は次回12月18日の政策会合で0.25%の利下げを行うとの見方が優勢です。GDPや鉱工業生産が市場予想よりも弱い結果になれば、12月会合での追加利下げ観測が高まるとともに、英ポンドにとってのマイナス材料になりそう。その場合、英ポンド/米ドルは軟調に推移し、ユーロ/英ポンドは堅調に推移すると考えられます。ユーロ/英ポンドは、23年2月高値の0.89744ポンドが上値メドです。
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豪州の10月雇用統計が発表されます(日本時間09:30)。雇用統計の市場予想は、失業率が4.4%、雇用者数が前月比2.00万人増。失業率は21年11月以来およそ4年ぶりの高水準だった9月の4.5%から低下(改善)するとみられています。
市場では、RBA(豪中銀)は当面、政策金利を現行の3.60%に据え置くとの見方が優勢です。雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、RBAによる追加利下げ観測が高まるとともに、豪ドルにとってのマイナス材料になりそうです。
※豪ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/円、豪10月雇用統計が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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