米中閣僚級協議を受けて円が軟調、ユーロ/円はユーロ導入後の最高値
2025/10/27 09:20
【ポイント】
・米財務長官が100%の対中追加関税は回避されるとの見通しを示す
・トランプ大統領は対カナダ関税を10%引き上げる意向を表明
(欧米市場レビュー)
24日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は152.114円、米ドル/シンガポールドルは1.29640シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16424ドル、豪ドル/米ドルは0.65233米ドルへと上昇しました。米国の9月CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことが、米ドルの重石となりました。
米CPIの結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
<総合>
・前月比:0.3%(0.4%)
・前年比:3.0%(3.1%)
<コア>
・前月比:0.2%(0.3%)
・前年比:3.0%(3.1%)
その後、米国の10月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)速報値が市場予想を上回ると米ドルは反発。米ドル/円や米ドル/シンガポールドルは下げ幅を、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは上げ幅をそれぞれ縮小しました。S&PグローバルPMI速報値の結果は、製造業が52.2、サービス部門が55.2。市場予想は製造業が52.0、サービス部門が53.5でした。
(本日の相場見通し)
米国と中国は25-26日にクアラルンプールで閣僚級協議を開催。ベッセント米財務長官は協議終了後に米メディアのインタビューで、中国はレアアース(希土類)の輸出規制強化を1年間延期すると述べ、11月1日発動予定の100%の対中追加関税については「回避されると思う」と語りました。トランプ大統領と習近平国家主席は30日に韓国で会談する予定です。
本日東京時間午前の外為市場では円が軟調に推移しており、米ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円など対円の通貨ペアは全般的に上昇。ユーロ/円は178円台へと上昇し、99年1月のユーロ導入後の最高値をつけました。米中閣僚級協議を受け、両国の貿易摩擦への懸念が後退したため(リスクオン)と考えられます。対円の通貨ペアは引き続き堅調に推移する可能性があります。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は[【株価指数】米中貿易協議の合意でリスクオンの株高か]です。
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トランプ米大統領は23日、自身のSNSに「カナダとの全ての貿易協議を打ち切った」と投稿。25日には同じくSNSで「カナダからの輸入品に対する関税をさらに10%引き上げる」と表明しました。カナダのオンタリオ州が、レーガン元米大統領の演説を使用して虚偽のCMを流しているためとのこと。CMでは、1987年のレーガン元大統領のラジオ演説の一部が使用されており、レーガン元大統領は関税に否定的な発言をしているようです。対カナダ追加関税の発動時期や対象範囲は明らかにされていません。
トランプ大統領が対カナダ関税を引き上げる意向を表明したことは、カナダドルにとってのマイナス材料になると考えられます。
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