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日銀審議委員の講演や中国経済指標が材料になるか

2025/10/20 09:08

【ポイント】
・高田審議委員の講演で日銀の追加利上げ観測が高まるか
・中国経済指標で同国景気をめぐる懸念が強まるか

(欧米市場レビュー)

17日、欧米時間の外為市場ではが軟調に推移。一時米ドル/円は150.546円、豪ドル/円は97.783円、NZドル/円は86.307円へと上昇しました。トランプ米大統領の発言によってリスクオフ(リスク回避)が後退したことや、臨時国会の首相指名選挙で自民党の高市総裁が選出される可能性が高まったことが、円の重石となりました。

トランプ大統領は17日放送(収録は16日)のFOXビジネス・ネットワークで、11月1日に発動予定の100%の対中追加関税について「持続可能ではない」と述べました。また、10月31日と11月1日に韓国の慶州で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議にあわせて中国の習近平国家主席と会談する考えを示しました。

自民党と日本維新の会は2回目の政策協議を行い、協議終了後に日本維新の会の藤田共同代表は「政策協議は大きく前進した」と語りました。

(本日の相場見通し)

本日の東京時間午前の外為市場ではが軟調に推移しており、米ドル/円は151円に、ユーロ/円は176円に接近し、豪ドル/円は98円台に上昇しています(日本時間09:00時点)。

積極的な財政政策緩和的な金融政策を志向しているとされる高市自民党総裁が首相に選出される可能性が高まっており、そのことが円の重石となっていると考えられます。米ドル/円や豪ドル/円などの対円の通貨ペアは引き続き堅調に推移する可能性があります。

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日銀の高田審議委員が広島市で開かれる中国経済連合会で講演する予定です(日本時間12:50)。

高田審議委員は前回9月18-19日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きに反対。0.25%の利上げを行うことを提案しました。本日の講演では追加利上げに前向きな姿勢が示されるとみられます。

市場では、日銀は次々回12月18-19日の会合で0.25%の利上げを行うとの観測があります。高田審議員の講演によってその観測が高まる場合、対円の通貨ペアの上値を抑える材料になるかもしれません。

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7-9月期GDP(国内総生産)など中国の経済指標が複数発表されます(いずれも日本時間11:00)。その結果に市場が反応する可能性があります。

中国の経済指標の市場予想は以下のとおり。( )は前回の実績です。
・7-9月期GDP(前年比):4.7%(5.2%)
・9月固定資産投資(前年比):0.1%(0.5%)
・9月小売売上高(前年比):3.0%(3.4%)
・9月鉱工業生産(前年比):5.0%(5.2%)

GDP成長率は前期の5.2%から減速し、また固定資産投資なども前月から伸びが鈍化するとみられています。

中国の経済指標が市場予想と比べて弱い結果になれば、同国景気をめぐる懸念が市場で強まる可能性があります。その場合、豪州やNZは中国と経済面で結びつきが強いこともあり、豪ドルNZドルにとってのマイナス材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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