米国発信用不安に要注意⁉
2025/10/17 07:49
【ポイント】
・不正融資の疑いなどで米地銀2行の株価が急落
・最近になって一部の社債価格の急落や企業破綻が目立つ
・現時点で信用不安の兆候はないとされるが、VIX指数の上昇などに要注意
16日のNYダウは高く始まったものの、下落に転じて前日比約300ドル下げて終わりました。きっかけは、地銀2行が不正の疑いがある融資の問題を明らかにしたこと。
ザイオンズ・バンコープは、子会社が引き受けた融資で巨額の貸倒償却を発表し、株価が13%下落。また、ウェスタン・アライアンス・バンコープは、優先担保を提供しなかった借り手に対する訴訟に関連して損失発生の可能性が浮上、株価が11%下落しました。
それらは個別事例に過ぎず、23年3月に破綻したシリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャーバンクのように金融システムに対する不安に発展する兆候はないとの指摘もあります(後述)。
もっとも、ここもとは社債やABS(資産担保証券)の価格が大幅に下落するケースや企業の破綻も目につきます。
高級百貨店サックス・フィフス・アベニューの親会社が発行した債券が、1回の利払い後に債務再編を迫られました。その直後に天然ガス会社ニュー・フォレスト・エナジーの債券が暴落したとのこと。また、サブプライム自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスや自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループは連邦破産法の適用を申請しました。
投資家のリスク意識を反映するVIX指数、別名「恐怖指数」は16日に25.31に上昇。これは、トランプ大統領が対中国100%関税に言及した10日の高値22.44を超えています。今後、信用不安が拡大しないか要注意でしょう。

【シリコンバレー銀行の破綻】
シリコンバレー銀行(SVB)は23年3月10日に破綻。NYダウは3月6日の高値から15日の安値まで2,000ドル超下落。米ドル/円は3月8日の137.91円から24日の129.64円まで下落しました。
以下は23年3月13日付けファンダメ・ポイント「【特報】米銀破たんに当局は迅速に対応中・・・」です。
*******
10日、カリフォルニア州のシリコンバレーバンク(SVB)が経営破たんしました。投資先の新興企業の資金繰り悪化や保有債券の価格下落などが背景。資産規模は全米16位。米国の銀行破たんではリーマンショック時の08年9月のワシントン・ミューチャルに次ぐ2番目の規模とのこと。
12日にはニューヨーク州のシグネチャーバンクが当局によって事業停止措置を受けました。8日には銀行持ち株会社のシルバーゲート・キャピタルが銀行業務の清算を発表しています。昨年3月に始まったFRBの利上げの影響が徐々に出てきたのかもしれません。
12日には、財務省、FRB、FDIC(連邦/預金保険公社)が共同声明を発表。SVBやシグネチャーバンクの全ての預金を保護するなどとし(=保護される預金の上限を例外的に撤廃)、銀行システムの健全性維持のために全力を挙げることを表明しました。これと並行して、FRBは銀行の資金繰りを支援するための新しいプログラム(BTFP)を創設しました。当局の迅速な対応によって事態は収まるのか、それとも金融不安が広がりをみせるのか、今後も注意は必要でしょう。
10日に発表された米国の2月雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比31.1万人増と堅調でした。しかし、銀行の破たんを受けて利上げ観測は大きく後退しています。10日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むメインシナリオは、「3月と5月に0.25%ずつの利上げで打ち止め、11月に0.25%の利下げ」。12月の利下げも5割近い確率で織り込まれています。
・不正融資の疑いなどで米地銀2行の株価が急落
・最近になって一部の社債価格の急落や企業破綻が目立つ
・現時点で信用不安の兆候はないとされるが、VIX指数の上昇などに要注意
16日のNYダウは高く始まったものの、下落に転じて前日比約300ドル下げて終わりました。きっかけは、地銀2行が不正の疑いがある融資の問題を明らかにしたこと。
ザイオンズ・バンコープは、子会社が引き受けた融資で巨額の貸倒償却を発表し、株価が13%下落。また、ウェスタン・アライアンス・バンコープは、優先担保を提供しなかった借り手に対する訴訟に関連して損失発生の可能性が浮上、株価が11%下落しました。
それらは個別事例に過ぎず、23年3月に破綻したシリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャーバンクのように金融システムに対する不安に発展する兆候はないとの指摘もあります(後述)。
もっとも、ここもとは社債やABS(資産担保証券)の価格が大幅に下落するケースや企業の破綻も目につきます。
高級百貨店サックス・フィフス・アベニューの親会社が発行した債券が、1回の利払い後に債務再編を迫られました。その直後に天然ガス会社ニュー・フォレスト・エナジーの債券が暴落したとのこと。また、サブプライム自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスや自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループは連邦破産法の適用を申請しました。
投資家のリスク意識を反映するVIX指数、別名「恐怖指数」は16日に25.31に上昇。これは、トランプ大統領が対中国100%関税に言及した10日の高値22.44を超えています。今後、信用不安が拡大しないか要注意でしょう。

【シリコンバレー銀行の破綻】
シリコンバレー銀行(SVB)は23年3月10日に破綻。NYダウは3月6日の高値から15日の安値まで2,000ドル超下落。米ドル/円は3月8日の137.91円から24日の129.64円まで下落しました。
以下は23年3月13日付けファンダメ・ポイント「【特報】米銀破たんに当局は迅速に対応中・・・」です。
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10日、カリフォルニア州のシリコンバレーバンク(SVB)が経営破たんしました。投資先の新興企業の資金繰り悪化や保有債券の価格下落などが背景。資産規模は全米16位。米国の銀行破たんではリーマンショック時の08年9月のワシントン・ミューチャルに次ぐ2番目の規模とのこと。
12日にはニューヨーク州のシグネチャーバンクが当局によって事業停止措置を受けました。8日には銀行持ち株会社のシルバーゲート・キャピタルが銀行業務の清算を発表しています。昨年3月に始まったFRBの利上げの影響が徐々に出てきたのかもしれません。
12日には、財務省、FRB、FDIC(連邦/預金保険公社)が共同声明を発表。SVBやシグネチャーバンクの全ての預金を保護するなどとし(=保護される預金の上限を例外的に撤廃)、銀行システムの健全性維持のために全力を挙げることを表明しました。これと並行して、FRBは銀行の資金繰りを支援するための新しいプログラム(BTFP)を創設しました。当局の迅速な対応によって事態は収まるのか、それとも金融不安が広がりをみせるのか、今後も注意は必要でしょう。
10日に発表された米国の2月雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比31.1万人増と堅調でした。しかし、銀行の破たんを受けて利上げ観測は大きく後退しています。10日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むメインシナリオは、「3月と5月に0.25%ずつの利上げで打ち止め、11月に0.25%の利下げ」。12月の利下げも5割近い確率で織り込まれています。
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