【株価指数】米中貿易協議の合意でリスクオンの株高か
2025/10/27 08:42
【ポイント】
・米中がレアアース輸出規制の延期や追加関税回避で合意
・日米首脳会談で「高市トレード」に弾み?
・FRB、日銀、ECBの金融政策会合の結果は?
・米企業決算も続く・・
(先週のレビュー)
主要株価指数は総じて堅調。日経平均は21日に高値を更新して初の5万円台まであと一歩まで上昇。NYダウ、S&P500、ナスダック100に加えて、FTSE100も24日に高値を付けて週を終えました。
日経平均は、20日の自民と維新の連立合意、21日の臨時国会での高市首相誕生を受けて高市トレードが復活。片山財務相の人事が好感されて長期金利(10年物国債利回り)が低下したことも株高要因となりました。21日に一時49945.95円をつけました。その後は高値圏で揉み合い。米ドル/円は24日に一時153円台まで上昇しました。
米株は10日にトランプ大統領が対中100%関税を発表して大幅に下落。その後、米中貿易協議の不透明感から株価が下げる場面はあったものの、インテルなど好調な企業業績や、長期金利の低下などを受けて、上昇基調が続きました。24日には9月CPI(※)がインフレの落ち着きを示したことでFRBの利下げ観測が高まり、株価は高値を更新しました。CPI発表後は、10月28-29日のFOMCに加えて、12月9-10日のFOMCでも0.25%の利下げが確実視されました。
※シャットダウン(政府機能の一部停止)のさなかですが、年金支給の物価調整に必要なため、特別に発表されました。その他の政府所管の経済指標はシャットダウンが解消されるまで発表されない見込み。ホワイトハウスによれば、データ収集ができないために10月CPIは発表されないとのこと。
FTSE100は力強く上昇しました。9月CPIが市場予想を下回ってBOE(英中銀)の利下げ観測が高まったこと、その結果として長期金利が大きく低下したこと、さらにはナットウェストなど金融機関の業績見通しが上昇修正されたことなどが材料でした。
(今週の相場材料)
今週は重要イベントが目白押しです。25-26日の米中貿易協議(クアラルンプール)では、11月実施予定だった中国のレアアース輸出規制の1年延期、米国の対中100%関税および相互関税上乗せ分復活の回避などで合意があったようです。週明け株式市場は大きく上昇して始まりそうです。
28日には日米首脳会談。高市首相が初めてトランプ大統領と会談します。高市首相の唱える積極財政と緩和的金融政策(とその結果としての円安)がトランプ大統領の理解を得られるか。トランプ大統領から「物言い(けん制)」がなければ、高市トレードに弾みがつくかもしれません。
日本時間30日午前3時に米FOMCの結果が判明。午前3時30分からパウエル議長が記者会見を行います。同正午ごろに日銀の金融政策決定会合の結果が判明。同時に「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表されます。午後3時30分から植田総裁の記者会見。午後10時15分にECB(欧州中銀)理事会の結果判明。午後10時45分からラガルド総裁の会見。
24日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む確率は、FOMC0.25%利下げが99%、日銀0.25%利上げが10%、ECB0.25%利下げが0%です。サプライズがあるとすれば、日銀の利上げでしょうか。果たして、高市首相就任直後に利上げして批判にさらされる覚悟が日銀にあるか。現状維持だとしても、9月に利上げを主張した高田・田村両委員以外に利上げ派が出てくれば、市場は反応するかもしれません(逆に両氏が現状維持にいったん賛成するかも)。
30日には米中首脳会談。すでに貿易協議で合意したとされているため、それを追認する程度であれば相場材料にならないかもしれません。それともトランプ大統領からサプライズが出るでしょうか。31-1日にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が韓国慶州で開催。経済協力や貿易、投資などについて協議されますが、トランプ大統領は出席しない可能性があるようです。
10月1日に始まった米シャットダウン(政府機能の一部停止)は継続中。解消されないとすれば、29日には5週目に突入します(過去最長は35日間)。必要業務である航空管制官の欠勤が増え、欠航が出ている模様。関税や検閲などの検査官や許認可の担当者などが不足すれば、物流などを中心に経済活動に障害が出る可能性もあります。シャットダウン解消の見込みは立っていません。
米企業決算の発表も続きます。29日にメタ(フェイスブック)、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト。30日にアップル、アマゾン。31日にエクソン、シェブロン、など。
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