マネースクエア マーケット情報

日米長期金利差が縮小しても米ドル/円が下落しない理由!?

2025/10/21 08:07

【ポイント】
・日米長期金利差は22年4月以来の水準まで縮小
・日米長期金利差を用いた推計では、米ドル/円は144~145円との結果も
・日本の政局が安定してくれば、米ドル/円には下落余地も

米長期金利(10年物国債利回り)は先週末17日に一時3.93%と、「相互関税ショック」があった4月上旬以来の水準まで低下。20日は一時4.00%台に上昇したものの、同水準を下回って一日を終えました。

日本の長期金利は10日に一時1.70%を超えた後にやや低下したものの、20日には反発して1.67%と比較的高い水準にありました。

日米長期金利


米長期金利が今年に入って低下基調にある一方で、日本の長期金利はジリジリと上昇しており、日米長期金利差は縮小傾向にあります。20日時点の日米長期金利差は231ベーシスポイント(bp=1/100%)と、22年4月上旬以来の低水準です。当時は米FRBが3月16日に今局面で最初に利上げした直後。日米の長期金利はいずれも比較的低位でした。当時の米ドル/円は130.00円を下回って推移していました。

日米長期金利差

さて、米ドル/円と日米長期金利差の連動性が高いことはこれまでも指摘してきました。今年に入っても3月までは高い連動性を保っていましたが、4月上旬には日米金利差が拡大する一方で米ドル/円が下落。これは、4月2日の「解放の日(相互関税ショック)」以降に強いリスクオフが発生して円が買われたためでしょう。

また、7月以降は日米長期金利差が縮小を続ける一方で、米ドル/円は堅調に推移。これは7月参院選での自公連立政権の惨敗など政治不安を反映している可能性があります。足もとでは「高市トレード」キャリートレードの復活などによる円安を演出しています。

米ドル円と日米長期金利差

今年1-3月の米ドル/円と日米長期金利差の関係が現在も続いていると仮定すれば、日米長期金利差から推計される米ドル/円は144~145円程度です。目先的には高市政権誕生を受けて「高市トレード」がさらに盛り上がる可能性もあり、さすがに米ドル/円がその水準まで直ちに下落するとは考えにくいでしょう。ただ、やや長い目でみれば、米ドル/円には下落余地が生じるかもしれません。

■米ドル/円のテクニカル分析は、本日の「米ドル/円、下値固め模索の時間帯!”高市トレード”再燃となるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ