米ドル/円が堅調、8カ月ぶりの高値を記録
2025/10/10 09:16
【ポイント】
・米経済指標でFRBによる利下げ観測が高まるか
・カナダ雇用統計で市場のBOC金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
9日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は153.196円、米ドル/カナダドルは1.40292カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.30079シンガポールドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15400ドル、英ポンド/米ドルは1.32774ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
自民党の高市総裁が「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と述べたことで、米ドル/円は一時152.137円へと下落する場面があったものの、その後153円台へと反発しました。
(本日の相場見通し)
米国の10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が本日発表されます(日本時間23:00)。その結果が材料になりそうです。
ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は54.2と、前月(確報値)の55.1から低下するとみられています。1年先と5年先のインフレ期待にも注目です。前月のインフレ期待はそれぞれ4.7%と3.7%でした(10月分の市場予想なし)。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内残り2回(10月28-29日と12月9-10日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でそれぞれ0.25%利下げするとの見方が有力です。
ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を下回るなど弱い結果になれば、FRBによる追加利下げ観測が補強されるとともに米ドルにとってのマイナス材料になりそう。その場合、米ドル/シンガポールドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移すると考えられます。
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カナダの9月雇用統計が本日発表されます(日本時間21:30)。
雇用統計の市場予想は、失業率が7.2%、雇用者数が前月比0.50万人増です。失業率は前月の7.1%から悪化する方で、雇用者数は3カ月ぶりにプラスになるとみられています。
BOC(カナダ中銀)は前回9月17日の政策会合で0.25%利下げすることを決定。マックレム総裁は会合後の会見で、「リスクが一段と傾く場合、さらに行動する用意がある」と述べ、追加利下げに含みを持たせました。
市場では、次回10月29日の会合で0.25%の追加利下げが行われるとの見方が優勢。OIS(翌日物金利スワップ)によると、9日時点で市場が織り込む次回会合の利下げ確率は約7割です。
カナダの雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、BOCによる追加利下げ観測が高まるとともにカナダドルが軟調に推移しそうです。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、もう一段の上値追いとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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米ドル/円の3日NY終値は147円台半ばでした。足もとでは153円ちょうど近辺で推移しており、この1週間で5円以上上昇しています。
円安が急速に進行する中で本邦当局の反応に引き続き注目です。
加藤財務相は7日に「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」、「為替市場における過度な変動や無秩序な動きについてしっかり見極めていく」と述べました(当時の米ドル/円は150円台でした)。自民党の高市総裁は9日に「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と語りました。
本邦当局による“円安”けん制のトーンが強まる場合、米ドル/円はいったん下落するかもしれません。
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