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米議会最新情勢:「シャットダウン」の季節??

2025/09/17 07:46

【アップデート】
16日に始まったFOMCには上院が承認したミラン理事と、トランプ大統領による解任が差し止められたクック理事の両名が出席しています。トランプ政権はクック理事の解任差し止めを無効とするよう最高裁に介入を要請する意向でしたが、少なくともFOMCには間に合わなかったようです。
■16日付け「米FOMC直前情勢と注目ポイント」をご覧ください。

【ポイント】
・10月1日の新年度開始に向けて12本の歳出法案の成立は困難!?
・共和党がつなぎ予算を発表も、民主党は強く反発
・歳出法・つなぎ予算とも不成立なら「シャットダウン」へ
・長期間しなければ影響は限定的だが、両党の対立が先鋭化?

米国の26年度が10月1日にスタートします。開始まで約2週間。米議会は26年度予算を審議していますが、12本の歳出法案は未だ成立の見込みが立っていません。共和党はつなぎ予算(継続予算)案を公表しましたが、民主党からの強い反対があります。正式な予算が成立せず、つなぎ予算も間に合わなければ、「シャットダウン」となり、航空管制や国防・安全保障など必要不可欠な機能を除いて政府機能は停止(窓口閉鎖)となります。

シャットダウンとなれば、一般市民は不便を強いられます。ただ、よほど長期化しない限り、経済や金融市場への影響は限定的です。もっとも、「シャットダウン」は共和党と民主党(政府と議会)の対立の象徴でもあり、予算のみならず様々な法案審議に影を落とすことになります。また、26年秋の中間選挙にも影響する可能性があります。

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近年の「シャットダウン」
シャットダウンは過去にも頻繁におこりました。近年では、トランプ大統領一期目の18年12月22日から19年1月25日まで35日間発生し、これが過去最長です。19年以降もたびたび危機は訪れましたが、土壇場でつなぎ予算が成立するなどしてシャットダウンは回避されています。

なお、デットシーリング(債務上限)は、7月に成立したトランプ減税のOBBBA(予算調整法案)によって引き上げられたため、目先的にデフォルト(債務不履行)が起こる可能性はほぼゼロです。

今回の予算審議状況
9月16日時点で、国防やその他の12本の歳出法案は一本も成立していません。9月22日の週は下院が休会となるため、本日17日を含めて実際の審議日数は5日しかないようです(上院もほぼ同様)。

下院共和党は16日、11月21日までをカバーするつなぎ予算案を発表しました。つなぎ予算の成立には民主党の協力が必要です。しかし、民主党が要求していたオバマケア(ACA、医療保険制度改革法)の補助金の延長が含まれなかったため、民主党は強く反発しています。同補助金は上述のOBBBAでも延長されず、期限切れが迫っているようです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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