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フランス内閣不信任、政治不安はユーロ安要因?

2025/09/09 08:03

【ポイント】
・8日、内閣不信任を受けてバイル首相が退陣
・マクロン大統領が数日内に新首相を指名へ
・ユーロ圏で最悪のフランス財政収支に改善の見通しは立たず⁉

9日、フランス国民議会(下院)でバイル内閣の信任投票が実施され、194対364で不信任となりました。バイル首相はマクロン大統領に辞表を提出、マクロン大統領は数日内に新首相を指名する予定です。昨年10月に総選挙を前倒しした結果、与党が敗北した苦い経験があるため、マクロン大統領は総選挙を行わない意向です。

問題は、誰が新首相に指名されても26年1月に始まる26年度予算が成立する見通しが立たないことです。バイル内閣は428億ユーロの財政健全化策を予算案に盛り込む方向でした。しかし、予算案に年金支給凍結や祝日の削減などが含まれていたため、過半数の議席を持つ野党が強く反対していました。

フランス財政赤字(GDP比)がユーロ圏で最大とのこと。ユーロ圏主要国の財政赤字(GDP比)は、20年のコロナショックで大きく拡大した後に改善し、その後はドイツで横ばい、イタリアスペインで改善が継続していますが、フランスは22年から再び拡大傾向に転じています。

ユーロ圏主要国の財政収支

現地報道によると、10月13日までに政府が予算案を提出しなければ、審議日数の関係で新年度に間に合わないとのこと。

バイル内閣の崩壊は事前に予想されていたためか、ユーロはほとんど反応していません。むしろ、8月以降は米FRBの利下げ観測の高まりによって、ユーロ/米ドルは堅調に推移してきました。もっとも、フランスで新しい内閣が誕生しても、予算案が暗礁に乗り上げるなどして今以上に政治不安が高まる可能性もあり、その場合はユーロに下押し圧力が加わるかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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