市場の注目は雇用統計へ
2025/09/05 08:59
【ポイント】
・米雇用統計の結果を受けて市場のFRB金融政策見通しがどう変化するか
・カナダ雇用統計でBOCによる利下げ観測が一段と高まるか
(欧米市場レビュー)
4日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は148.731円、米ドル/カナダドルは1.38407カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.16287ドル、英ポンド/米ドルは1.34144ドルへと下落しました。米国の8月ADP雇用統計や先週分の新規失業保険申請件数は市場予想と比べて弱い結果だった一方、8月ISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。市場ではISM非製造業景況指数の結果がより強く意識されたようです。
各経済指標の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・ADP雇用統計(前月比):5.4万人増(6.5万人増)
・新規失業保険申請件数:23.7万件(23.0万件)
・ISM非製造業景況指数:52.0(51.0)
(本日の相場見通し)
本日は、米国の8月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。その結果に市場が反応しそうです。
雇用統計の市場予想は失業率が4.3%、非農業部門雇用者数が前月比7.5万人増。失業率は前月の4.2%から悪化し、非農業部門雇用者数は前月の7.3万人とほぼ同じ伸びになるとみられています。
市場は、次回9月16-17日のFOMCでの0.25%利下げを確実視しています。また、9月だけでなく、次々回10月28-29日のFOMCでも利下げが行われるとの観測が市場にはあります。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む9月の利下げ確率は約99%。10月も利下げが行われる確率は5割強です(米国時間4日時点)。
雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、FRBは今後積極的に利下げを行うとの観測が高まる可能性があります。その場合、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円には下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。ユーロ/米ドルの上値メドとして、7月1日高値の1.18249ドルが挙げられます。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は[米雇用統計プレビュー:失業率に注目すべき理由!です。
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米国と同時刻にカナダの8月雇用統計が発表されます。その結果がBOC(カナダ中銀)の金融政策判断に影響を与える可能性があります。
BOC(カナダ中銀)のマックレム総裁は7月30日の政策会合後の会見で「景気の減速がインフレにさらなる下押し圧力を加え、貿易の混乱による物価上昇圧力が抑制される場合、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」と述べました。
カナダの4-6月期GDP(国内総生産。8/29発表)は前期比年率換算マイナス1.6%でした。トランプ政権による対カナダ関税の影響によって輸出が大きく落ち込んだ(前期比7.5%減)ことが響き、カナダ経済は23年7-9月期以来のマイナス成長となりました。
GDPの弱い結果を受けて市場ではBOCによる追加利下げ観測が高まり、OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回9月17日のBOC会合での利下げ確率は6割強(9/4時点)。8月28日時点は4割程度でした。
本日発表のカナダ雇用統計の市場予想は、失業率が7.0%、雇用者数が前月比1.00万人増です。市場予想と比べて弱い結果になれば、BOCによる追加利下げ観測が一段と高まるとともに、カナダドルにとってマイナス材料になりそうです。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、米国・カナダの8月雇用統計が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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