米ドル/円が下落、トランプ大統領がFRB理事を解任
2025/08/26 09:17
【ポイント】
・FRBの独立性をめぐる懸念が再び高まる可能性も
・米経済指標で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・BOC総裁の講演で金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されるか
(欧米市場レビュー)
25日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は147.899円、米ドル/カナダドルは1.38594カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.16025ドル、英ポンド/米ドルは1.34447ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料になったと考えられます。米長期金利の上昇(国債価格は下落)は、米財務省による国債入札を前にしたポジション調整との見方があります。
(本日の相場見通し)
トランプ米大統領は米東部時間25日午後(日本時間26日午前9時頃)、FRBのクック理事の解任を発表しました。
発表前に147.800円近辺で推移していた米ドル/円は、クック理事解任のニュースを受けて147.200円近辺へと下落しました(日本時間09:15時点)。
FRBの独立性をめぐる懸念が再び高まるかもしれません。その場合には米ドル安圧力が生じそうです。
※22日の『ファンダメ・ポイント』は、[米FRBで今、何が起きているか(2):クック理事への辞任圧力]です。
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米国の8月消費者信頼感指数や7月耐久財受注が本日発表されます。それらの結果が材料になる可能性があります。
市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
・消費者信頼感指数:96.2(97.2)
・耐久財受注(前月比):マイナス4.0%(マイナス9.4%)
・耐久財コア受注(航空機を除く非国防資本財、前月比):プラス0.2%(マイナス0.8%)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が有力。CMEのFedWatch ツールによると、米国時間25日時点で市場が織り込む9月の利下げ確率は約83%です(政策金利の据え置きは約17%)。
消費者信頼感指数などが市場予想を下回る結果になれば、FRBによる利下げ観測が高まる可能性があります。利下げ観測が高まる場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になりそうです。英ポンド/米ドルの上値メドとして、14日高値の1.35891ドルが挙げられます。
本日はまた、バーキン・リッチモンド連銀総裁が講演する予定です(日本時間21:30~)。
バーキン総裁は12日の講演で「インフレと失業率の双方に上昇圧力が加わる可能性がある。両者のバランスは不透明だ」、「経済見通しが明確になるのに伴い、FRBは必要に応じて政策スタンスを調整できる態勢にある」などと述べました。
本日の講演で、FRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されれば材料になりそうです。
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BOC(カナダ中銀)のマックレム総裁が本日メキシコシティで講演します。
BOCは24年6月から25年3月まで7会合連続合計2.25%の利下げを実施。その後、4月・6月・7月と3会合連続で政策金利を据え置きました。現在の政策金利は2.75%です。
ただ、マックレム総裁は前回7月30日の会合後の会見で「景気の減速がインフレにさらなる下押し圧力を加え、貿易の混乱による物価上昇圧力が抑制される場合、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」との認識を示しました。
市場では、BOCは次々回10月29日の会合で追加利下げを行うとの観測があります(次回9月17日の会合は政策金利の据え置きを予想)。
マックレム総裁が本日の講演で、BOCの先行きの金融政策について新たなヒントを提供するかに注目。講演を受けてBOCによる追加利下げ観測が市場で後退する場合、カナダドルが堅調に推移すると考えられます。
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