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【株価指数】参院選後の政局が相場材料に

2025/07/21 06:28

【ポイント】
・参院選後にやや円高も政局の行方は引き続き不透明
・財政赤字拡大懸念などから長期金利が上昇すれば、日経平均に下落圧力も
・今週は、日本の政局のほか、米相互関税の行方、日英米PMIなどが相場材料に

(先週のレビュー)

主要株価指数は比較的小動きでした。日経平均NYダウはあまり方向感が出ませんでしたが、S&P500ナスダック100は17日に高値を更新、FTSE100は14日につけた最高値近辺で推移しました。

日本では、参院選に向けた連立与党の苦戦が財政拡張につながりかねないとの観測から長期金利が上昇、日経平均の重石となりました。円にも売り圧力が加わりました。前日の米株の好調もあって日経平均は18日に4万円台を回復して取引を開始しましたが、それを維持できませんでした。

米国では、相互関税利下げ観測FRB議長解任報道CPI(消費者物価指数)や小売売上高といった経済指標などが強弱マチマチの相場材料になりました。

前週末にはトランプ大統領がEUやメキシコに対する30%の相互関税を発表。ただ、トランプ大統領が交渉に前向きの姿勢を示したことで、大きな弱気材料とはならなかったようです。

15日発表の米国の6月CPIはほぼ市場予想通りながら、関税の影響が垣間見えたことで、長期金利が上昇して米株を押し下げました。16日にはパウエルFRB議長解任へとの報道を受けて米株は一時大きく続落しましたが、トランプ大統領が解任を否定したことで反発。17日には6月小売売上高が堅調で、米株は続伸。上述したように、S&P500ナスダック100は高値を更新しました。

18日にはウォラーFRB理事が7月29-30日のFOMCで利下げを支持すると発言。さらに、ミシガン大学消費者調査インフレ期待が前月から低下したこともあって長期金利は低下。S&P500は寄り付き直後に高値を更新したものの、反落しました。

英国では、景気の弱さやインフレの高さにもかかわらず、FTSE100は比較的好調です。英ポンドが米ドルやユーロに対して弱含んでいることに加えて、米株から流出する資金の受け皿となっているとの指摘があります。

(今週の相場材料)

今週は、参院選後の政治情勢(に関する思惑)、米国の相互関税の行方などが相場材料になりそうです。決算発表は、アルファベットテスラIBMインテルなど。

20日に実施された参院選で、自公連立与党の過半数割れが確実な情勢です。参院選の情勢を受けて21日のアジア市場では、米ドル/円が前週末に比べやや円高で取引が始まっています。米ドル/円は7月に入って下落基調だったため、選挙結果をにらんでいったん材料出尽くしとなったのかもしれません。アジア時間に続く欧米時間に海外投資家がどう反応するか興味深いところでしょう。

日本の政局は引き続き不透明です。石破首相は続投を表明していますが、連立の拡大や事案ごとの野党協力は不可避です。自民党内から辞任を求める声が強まる可能性や野党が内閣不信任決議案を提出する可能性もあります。市場は、政局がどうなるか、それによって財政や通商を中心とした経済政策がどうなるかを見守ることになりそうです。政局の不透明感が払しょくできなければ、株価にとってはマイナス。また、財政赤字拡大懸念などから長期金利が上昇するようなら株価に下押し圧力が加わるかもしれません。

先週18日のベッセント財務長官と石破首相の会談は、表敬訪問の枠を出ず、関税に関する交渉は行われなかったようです。今週末25日の時点で米国の相互関税(上乗せ分)発動まで残り1週間となります。それまでに米国と各国との通商交渉で何らかの進展はあるのか。それともトランプ大統領はTACO(トランプ大統領はいつも尻込みする)の指摘に反発して関税を発動するのか。米株にも影響が出てくる可能性はあるため、こちらも大いに注目されます。

経済指標では、24日にS&PグローバルPMIの製造業・サービス業・総合指数(7月分の速報)が、日本、英国、米国の順で発表されます。速報ベースながら早いタイミングで発表されるため、その良し悪しが株価に影響する可能性があります。日本では25日に7月東京都区部CPIが発表されます。全国CPI(8/22発表)の前哨戦にあたり、日銀の金融政策見通しに影響するかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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