FRB議長をめぐるニュースに市場が反応、米ドル/円は一時146円台後半へ下落
2025/07/17 09:08
【ポイント】
・トランプ大統領はFRB議長の解任を否定
・米経済指標で市場のFRB利下げ観測が変化するか
(欧米市場レビュー)
16日、欧米時間の外為市場ではパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の解任をめぐるニュースに市場が反応しました。
一部通信社がホワイトハウス高官の話として「トランプ米大統領は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長を近く解任する可能性がある」と報じると、米ドルが急落。148円台後半で推移していた米ドル/円は一時146.849円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.17159ドル、英ポンド/米ドルは1.34809ドルへと上昇する場面がありました。
しかしその後、トランプ大統領がホワイトハウスで記者団に対して「パウエル議長を解任する計画はない」と述べると、米ドルは下げ幅を縮小。一時米ドル/円は148円台前半へと反発し、ユーロ/米ドルは1.16100ドル近辺、英ポンド/米ドルは1.34000ドル近辺へと反落しました。
(本日の相場見通し)
FRBは24年9月から12月まで3会合連続で利下げを実施して以降、政策金利を4.25~4.50%に据え置いています。
トランプ大統領はFRBが利下げしないことに不満を示し、パウエル議長を「遅すぎ」などと呼び繰り返し批判しています。
トランプ大統領は16日(日本時間17日朝)、米メディアインタビューでパウエル議長について「彼が(FRB議長を)辞任したいなら歓迎だ」と述べ、「私が彼を解任すれば市場が混乱すると言われている」と語りました。
パウエル議長の解任をめぐるニュースは今後も出てくる可能性があり、その内容次第では市場が反応するかもしれません。
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本日は、米国の6月小売売上高や7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(いずれも日本時間21:30)。
各経済指標の市場予想は以下のとおり。( )は前回の実績です。
・小売売上高(前月比):プラス0.1%(マイナス0.9%)
・自動車を除く小売売上高(前月比):プラス0.3%(マイナス0.3%)
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数:マイナス1.0(マイナス4.0)
・新規失業保険申請件数:23.5万件(22.7万件)
市場ではFRBは次々回9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げするとの見方が引き続き優勢なものの、利下げ観測は足もとで後退しているようです。CMEのFedWatchツールによると、米国時間16日時点で市場が織り込む9月までに利下げが行われる確率は約58%。1週間前の9日時点の確率は約70%でした。
本日発表の小売売上高などが市場予想と比べて良好な結果になれば、FRBの利下げ観測は一段と後退しそう。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。米ドル/円は、200日移動平均線(17日時点で149.651円)が上値メドです。
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