英ポンドが急落、ユーロ/英ポンドは4月中旬以来の高値
2025/07/03 09:15
【ポイント】
・英国の財政状況をめぐる懸念や財務相の辞任観測が英ポンドに対する下押し圧力に
・米雇用統計の結果を受け、FRBによる早期利下げ観測が高まるか
(欧米市場レビュー)
2日、欧米時間の外為市場では英ポンドが急落。ユーロ/英ポンドは一時0.86666ポンドへと上昇し、4月14日以来の高値を記録。英ポンド/米ドルは1.35620ドル、英ポンド/円は195.335円へと下落しました。
英国の財政状況をめぐる懸念や財政規律を重視するリーブス財務相の辞任観測が浮上したことが、英ポンドに対する下押し圧力となりました。
英政府は1日、福祉予算の削減案を撤回しました。また、2日の下院における質疑で、最大野党保守党のベーデノック党首から「リーブス氏は次の選挙まで財務相を務めるのか?」と問われると、スターマー首相はベーデノック氏こそ次の選挙まで保守党の党首を続けられないだろうと述べ、回答を避けました。リーブス財務相は財政規律を重視し、増税や歳出削減を主導してきました。
スターマー首相はその後、リーブス財務相について「今後も非常に長い間、財務相を務めるだろう」と述べ、市場の観測を否定しました。
米ドルも軟調。一時米ドル/カナダドルは1.35805カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.18000ドル近辺、豪ドル/米ドルは0.65837米ドルへと上昇しました。米国の6月ADP雇用統計が前月比マイナス3.3万人と、市場予想(プラス9.5万人)に反して前月から減少したことが、米ドルの重石となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の6月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。その結果が材料になりそうです。米国は4日が独立記念日の祝日のため、今回は通常の第1金曜日から前倒しされます。
雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が前月比11.0万人増、失業率が4.3%。前者は前月の13.9万人増から伸びが鈍化し、後者は前月の4.2%から悪化するとみられています。
市場では、FRBは次回7月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いて、次々回9月16-17日のFOMCで利下げを行うとの見方が優勢です。ただし、CMEのFedWatchツールによると、7月に利下げが行われる確率も25%程度織り込まれています(米国時間2日時点)。
雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、米景気の先行きをめぐる懸念が強まるとともに、FRBによる早期の利下げ観測が高まりそう。その場合には米ドル安が進んで、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上昇すると考えられます。豪ドル/米ドルは、200週移動平均線(3日時点で0.67193米ドル)が上値メドです。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は[ADPが示唆する雇用統計NFPは? <本日3日発表>]です。
※NZドル/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[NZドル/米ドル、米雇用統計が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。