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日銀、米FRB、英BOEの注目ポイント

2025/06/17 07:46

【ポイント】
・日銀:国債買い入れ額減額ペースの修正?
・FRB:ドットプロットと利下げ圧力への抵抗?
・BOE:利下げへの「地ならし」はあるのか?

本日17日に日銀の金融政策決定会合、18日に米FRBのFOMC、19日に英BOEのMPC(金融政策委員会)が開催されます。いずれも政策金利の変更は予想されていません。以下では、それぞれの注目ポイントについて概観しておきましょう。

日銀:国債買い入れ額減額ペースの修正?
OIS(翌日物金利スワップ。16日時点、以下同じ)に基づけば、今回の会合で市場が織り込む利上げ確率はほぼゼロ。利上げのメインシナリオ(確率5割超)は今年10月です。ただ、25年中の利上げ確率は6割強に過ぎず、年内据え置きとの見方も相応にあります。

今回の主なポイントは、国債買い入れ減額ペースの見直し。現在は、月間の長期国債の買い入れ額を四半期ごとに4,000億円ずつ減額し、26年1-3月に3兆円程度とする計画。26年4月以降の見直しを今回行いますが、減額ペースを2,000億円にするとの見方が有力なようです。

日銀国債買い入れ

会合の結果判明は正午前後、午後3時30分から植田総裁が記者会見をします(※)。

※日銀が結果を公表する正確な時間は決まっていません。最も遅かったのは、植田総裁就任後最初の23年4月(13:00)、次いで2度目の利上げと国債買い入れの減額を決定した24年7月(12:56)。最も早かったのは、25年3月(11:25)。なお、植田総裁の記者会見前後に欧州での取引が本格化するので、そこで相場が目立って動くケースもあります。

FRB:ドットプロットと利下げ圧力への抵抗?
OISに基づけば、今回のFOMCでの利下げ確率はゼロ%。次の利下げは9月との見方が有力(確率7割強)。同じOISに基づけば、25年中の利下げは2回(2回目は9割弱)、26年4月までに計3回の利下げがほぼ完全に市場に織り込まれています。

注目ポイントの1つは、3カ月(2会合)に1度公表されるFOMC参加者の経済・金融見通し。とりわけ、27年末までの政策金利の見通し、いわゆるドット・プロットは重要でしょう。あくまで参加者各個人の見通しを1人1つのドットとしてプロットしたものですが、その中央値が最も確率の高い政策金利の軌道と解釈されます。前回3月のドット・プロット(中央値)では、25年中に0.25%×2回、26年中に同2回、27年中に同1回の利下げが想定されました。

ドット・プロット

もう1つのポイントは、パウエル議長が記者会見で何を語るか。とりわけ、トランプ大統領の利下げ要求が強まるなかで、議長はどこまで毅然とした態度を取れるのか、注目です。

パウエル議長は前回5月の会合後の記者会見で、景気は底堅いとの認識を前提として、「我々は、事態がどう進展するかを見守るのが妥当なポジションにいる。忍耐強く待つことが適切」、「今は予防的(先制的)に利下げする状況ではない」などと説明しました。また、「(大統領発言は)我々の仕事に何ら影響しない」と明言しました。

BOE:利下げへの「地ならし」はあるのか?
OISに基づけば、今回の会合での利下げ確率は5%程度。次回8月の会合では8割近く利下げが織り込まれています。25年中は11月か12月にもう1回。26年は春ごろまでにさらに1回の利下げが織り込まれています。

前回5月のMPCでは0.25%の利下げが決定されました。BOEは、昨年8月以降、2会合に1回のペースで利下げを続けています。5月の声明では、「中期的なインフレ見通しに基づけば、ゆっくりと、慎重に、金融政策の抑制度合いを一段と緩めるアプローチが適切だ」とのフォワードガイダンスが維持されました。従来のパターンを踏襲するなら、8月に利下げとなるはずです。

ただ、5月には9人の委員のうち5人が0.25%利下げを支持しましたが、2人が0.50%利下げ残る2人が据え置きを主張しました。声明では、「世界の通商政策に関する不確実性が高まった」とされ、「金融市場の変動は大きくなり、市場の政策金利見通しは低下した」、「結果として世界経済の見通しは弱まった」と指摘されました。

ベイリー総裁は5月の会見で、「今、我々がいる世界では(次回会合までの)6週間で多くのことが起こる」、「(利下げも含めて)なんでもアリだ」と指摘しました。もっとも、8月の利下げを念頭に置くのであれば、今回の会合ではそのための「地ならし」が行われそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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