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米国とカナダの雇用統計に注目!

2025/06/06 09:01

【ポイント】
・雇用統計で市場のFRBBOC金融政策見通しが変化するか
・日米両国は関税交渉で歩み寄ることができるか

(欧米市場レビュー)

5日、欧米時間の外為市場ではが軟調に推移。一時米ドル/円は143.942円、英ポンド/円は195.428円、豪ドル/円は93.714円、NZドル/円は86.949円へと上昇しました。米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席で電話会談し、5月の貿易協議での合意を履行することを両首脳は確認しました。今後さらに貿易協議を実施することで合意し、会談後にトランプ大統領は「非常に良い会談だった」と述べました。それらを受けて米中貿易摩擦緩和への期待が市場で高まってリスクオフ(リスク回避)が後退し、円の重石となりました。

ユーロは堅調。一時ユーロ/米ドルは1.14893ドル、ユーロ/英ポンドは0.84425ポンドへと上昇しました。ECB(欧州中銀)は理事会を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。ただ、ラガルド総裁が理事会後の会見で利下げサイクルの終わりに差し掛かっているとの見解を示し、そのことがユーロのプラス材料になりました。

※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[ECB理事会は8回目の利下げ、ラガルド総裁は打ち止めを視野に]をご覧ください。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の5月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。

雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が前月比13.0万人増、失業率が4.2%。前者は前月の17.7万人から増加ペースが減速し、後者は前月と同じになるとみられています。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げを行うとの見方が優勢。CMEのFedWatchツールによると、米国時間5日時点で市場が織り込む利下げ確率は、6月17-18日のFOMCで約2%、7月29-30日のFOMCまでで約30%、9月16-17日のFOMCまでで7割強です。

雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、FRBの追加利下げ観測が高まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。米ドル/円には下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、NZドル/米ドルには上昇圧力が加わる可能性があります。ユーロ/米ドルは、4月21日高値の1.15680ドルが目先の上値メドです。

※NZドル/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[NZドル/米ドル、上昇トレンド序盤を示すチャート形状!]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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米国と同時刻にカナダの5月雇用統計が発表されます。

カナダの雇用統計の市場予想は、失業率が7.0%、雇用者数が前月比マイナス1.25万人。前者は前月の6.9%から悪化し、後者はマイナスに転じる(前月はプラス0.74万人でした)とみられています。

BOC(カナダ中銀)は7月30日に政策会合を開きます。市場では、政策金利は据え置かれるとの見方がやや優勢。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む7月会合の確率は、政策金利の据え置きが約6割、0.25%の利下げが約4割です。

カナダの雇用統計が市場予想に反して強い結果になれば、BOCの追加利下げ観測が後退しそう。その場合、カナダドルのプラス材料になると考えられます。

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赤沢経済再生担当相は米東部時間5日(日本時間6日朝)、ワシントンでラトニック米商務長官と関税交渉を行いました。6日(同6日夜)以降にベッセント財務長官とも会談する方向で調整されているようです。

報道によると、4回目(米東部時間5/30)までの交渉では、米国側は日本に課す相互関税の上乗せ部分を主な交渉対象とする一方で、日本側は自動車や鉄鋼・アルミを含めて一連の関税措置すべてを見直すように求めてきました。

今回の交渉で合意に向けて両国が歩み寄ることができるか注目です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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