トランプ政権の関税をめぐるニュースに要注意
2025/06/02 08:35
【ポイント】
・「6月4日から鉄鋼とアルミ関税を25%から50%に引き上げる」とトランプ大統領が表明
・貿易摩擦激化への懸念が強まる場合、リスクオフが強まる可能性も
・米ISM製造業景況指数で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
5月30日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが堅調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.37120カナダドルへと下落し、カナダドル/円は104.974円へと上昇しました。カナダの1-3月期GDP(国内総生産)が前期比年率換算2.2%と、市場予想の1.7%を上回ったことが、カナダドルのプラス材料となりました。
円も強含み。一時米ドル/円は143.402円、ユーロ/円は162.749円、豪ドル/円は91.990円、NZドル/円は85.426円へと下落しました。トランプ米大統領がSNSに「中国は米国との合意に完全に違反した」と投稿。これを受けてリスクオフ(リスク回避)が強まったことが、円のプラス材料となりました。
(本日の相場見通し)
トランプ米大統領は5月30日、ペンシルベニア州ピッツバーグでの演説で「米国に輸入される鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を25%から50%(2倍)に引き上げる」と表明。6月4日に発動するとしました。
これに対して欧州委員会は31日、「対抗措置を講じる用意がある」と表明しました。
鉄鋼・アルミ関税を含めトランプ政権による関税や、EUなどの関税への対応について新たなニュースが出てくれば、市場が反応しそう。貿易摩擦が激化するとの懸念が強まる場合、リスクオフが一段と強まる可能性があります。リスクオフは円のプラス材料になると考えられます。
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米国の5月ISM製造業景況指数が本日発表されます(日本時間23:00)。
ISM製造業景況指数の市場予想は49.3と、前月の48.7から改善するものの、業況判断の分かれ目である50を3カ月連続で下回るとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げを行うとの見方が優勢。CMEのFedWatchツールによると、5月30日時点で市場が織り込む利下げ確率は、6月が約4%、7月までで約25%、9月までで約7割です(8月はFOMCの開催なし)。
ISM製造業景況指数が市場予想を下回る結果になれば、米景気の先行きをめぐる懸念が強まるとともに、FRBの追加利下げ観測が高まりそうです。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わる可能性があります。英ポンド/米ドルは、5月26日高値の1.35889ドルが上値メドです。
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