米裁判所がトランプ大統領の関税を差し止め! 米ドルが急伸
2025/05/29 09:15
【ポイント】
・トランプ政権は判断を不服として控訴、最終的には最高裁まで争われる可能性も
・南アフリカ中銀の利下げの有無、先行きの金融政策についてヒントが提供されるか
(欧米市場レビュー)
28日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は145.049円、米ドル/カナダドルは1.38398カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.12835ドル、英ポンド/米ドルは1.34469ドルへと下落しました。27日に発表された米国の5月消費者信頼感指数の強い結果が市場で引き続き意識されたほか、同国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が米ドルの支援材料になったようです。消費者信頼感指数の結果は98.0、市場予想は87.2でした。
NZドルも堅調。一時NZドル/円は86.357円へと上昇し、豪ドル/NZドルは1.07674NZドルへと下落しました。RBNZ(NZ中銀)は市場予想どおり0.25%利下げすることを決定。ただ、会合では政策金利を据え置くことも検討されており、そのことがNZドルの支援材料となりました。
※詳しくは、28日の『デイリーフラッシュ』[【PM】RBNZ会合の結果発表後、NZドルが堅調]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
日本時間午前8時過ぎに米ドルが急伸し、一時米ドル/円は146円ちょうど近辺、米ドル/カナダドルは1.38カナダドル台半ばへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.12100ドル近辺、英ポンド/米ドルは1.34100ドル近辺へと下落しました。
複数の米メディアが「米国の国際貿易裁判所がトランプ大統領の“解放の日”関税を違法だとして差し止め。大統領令の権限を逸脱していると判断した」と報じたことがきっかけです。
報道によれば、トランプ政権はこの判断を不服として控訴を申し立てたようです。最終的には最高裁まで争われて合憲の判断がなされる可能性もあります。
ただ、トランプ大統領の大統領令に関しては数々の訴訟(※)があり、一連の大統領令の合憲性が問われることになるかもしれません。
(※)連邦職員の大量解雇、国籍の出生地主義に関する規制、議会が承認した政府支出の削減・・など
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本日は、米国の1-3月期GDP(国内総生産)改定値や先週分の新規失業保険申請件数、4月住宅販売保留指数が発表されます。
市場予想は以下のとおり。( )は前回、GDP改定値は速報値の実績です。
・GDP改定値(前期比年率):マイナス0.3%(マイナス0.3%)
・新規失業保険申請件数:23.0万件(22.7万件)
・住宅販売保留指数(前月比):マイナス1.0%(プラス6.1%)
これらの経済指標が市場予想からかい離する結果になれば市場が反応しそう。仮に市場予想と比べて強い結果になれば、米景気の先行きをめぐる懸念が後退するとともに、米ドルのプラス材料になる可能性があります。
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SARB(南アフリカ中銀)の政策会合が本日開かれます。会合の結果は日本時間22時過ぎに発表され、その結果に南アフリカランドが反応する可能性があります。
SARBは24年9月・11月・25年1月と3会合連続で利下げを実施(利下げ幅はいずれも0.25%)。前回3月の会合では、トランプ政権の通商政策などの影響を見極める必要があるとして、政策金利を7.50%に据え置きました。
南アフリカの4月CPI(消費者物価指数)は前年比2.8%と、2カ月連続でSARBの3~6%のインフレ目標を下回りました(目標中間値の4.5%を下回ったのは9カ月連続)。市場では、本日の会合で0.25%の追加利下げが行われるとの見方が有力です。
その通りの結果になれば、SARBの声明やクガニャゴ総裁の会見で次回7月以降の金融政策についてどのようなヒントが示されるかに注目です。声明や会見でさらなる利下げに慎重な姿勢が示されれば、本日の会合で0.25%の利下げが決定されたとしても、南アフリカランドはそれほど下落しないかもしれません。
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