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米CPIへの関税の影響はまだ限定的。5月以降も要注意か

2025/05/14 07:16

【ポイント】
・4月米CPIは総合・コアとも落ち着いた内容
・トランプ大統領はパウエルFRB議長に利下げを要求
・ただし、関税の影響は5月以降に強く出そう
・関税の影響がもっと明確になるまでFRBは金融政策を維持か

米国の4月CPI(消費者物価指数)はインフレの落ち着きを示しました。食料品やガソリン価格、一部のサービス価格の下落が全体を抑制しました。家具や家電など関税の対象とみられる商品の価格上昇がやや目立ちましたが、自動車価格などは落ち着いており、関税の影響は消費者段階にフルには浸透していないか、少なくともCPI調査段階(多くのサンプルは4月中旬ごろまでとみられます)では反映されていなかったということかもしれません。一部サービス価格の下落が一時的かどうか不透明です。

トランプ大統領はSNSで改めてパウエルFRB議長に利下げを要求しました。しかし、関税の影響がもっと明確になるまでFRBは金融政策を維持しそうです。

13日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は9月FOMCまでの0.25%利下げをほぼ100%織り込んでいます(次回6月では10%弱、7月までは44%)。

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米国の4月CPI(消費者物価指数)は、総合エネルギーと食料を除くコアともに前月比0.2%と、3月(-0.1%と0.1%)から伸びが高まったものの、市場予想(いずれも0.3%)を下回りました。前年比では総合が2.3%と、市場予想(2.4%)を下回り、3月(2.4%)から鈍化。コアは2.8%と、市場予想や3月実績と同じでした。

米CPI

FRBが労働コストを強く反映するとして注目するCPIコアサービス(住居費を除く)は前年比3.0%と前月(3.2%)から鈍化、21年11月以来の低い伸びとなりました。

米CPIコアサービス 住居費除く

トランプ関税の影響は?
項目別の前月比をみると、食料(-0.1%)、衣服・靴(-0.2%)、娯楽サービス(-0.3%)、教育・通信サービス(-0.3%)、その他個人サービス(-0.2%)などで価格が下落。ガソリン(-0.1%)は下落しましたが、電力やガスの価格上昇が目立ち、エネルギー全体(0.7%)では大きく上昇しました。一方で、家具・寝具(1.5%)、家電製品(0.8%)などは関税の影響で価格が上昇した可能性がありそうです。

もっとも、新車自動車(0.0%)、中古自動車(-0.5%)、自動車部品(-0.1%)をみると、4月3日に発動された25%自動車関税(部品への発動は5月3日)の影響はまだ出ていないと言えそうです。5月以降のデータも注視する必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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