リクスバンクもノルゲバンクも据え置き、政策金利差は縮小に向かいそう
2025/05/08 17:30
【ポイント】
・リクスバンクは据え置き、不確実性が高まりわずかな利下げを想定
・ノルゲバンクも据え置き、9月までに2回の利下げの可能性も
・政策金利差は縮小に向かうとみられ、スウェーデンクローナに有利か
・ノルウェーは産油国であり、原油価格の動向にも要注意
リクスバンク(スウェーデン中銀)、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)ともに8日の政策会合で現状維持を決定しました。リクスバンクの政策金利は2.25%、ノルゲバンクの政策金利は4.50%。
リクスバンクは2.00%への利下げを視野に
リクスバンクは昨年6月から今年1月まで6回計1.75%の利下げを行いました。3月そして今回5月は据え置き。今回の声明では「海外情勢の不確実性が増したことで、経済見通しは3月時点の予想よりわずかに弱まったようだ。インフレは3月時点の予想に比べて高くなるより低くなる可能性がやや高いと判断しており、先行きにわずかな利下げを示唆しているのかもしれない」とされました。政策金利2.00%への利下げを視野に入れているようです。前回3月の声明では、「政策金利は現行水準にとどまる公算が大きい」として利下げ打ち止めが示唆されていました。
リクスバンクの会合直後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は次回6月の会合での利下げの確率を6割強とみているようです(※)。また、9月までに1回の利下げを確実視しています。
(※)会合直後であり、織り込まれる確率は大きく変動するかもしれません。後述のノルゲバンクの市場見通しも同様。
ノルゲバンクは9月までに2回利下げ!?
ノルゲバンクは23年12月に最後の利上げを行ってから政策金利を4.5%に据え置いています。今回の声明では、「将来の経済情勢には不確実ながら、現時点の判断では25年中に利下げが行われる可能性がもっとも高い」とされました。ただ、声明では「見通しの不確実性は通常よりも大きく、政策金利の軌道は経済情勢次第だ。次回6月会合では新しい予測を提示する」とのこと。声明には、「世界経済見通しが弱くなり、原油価格は下落している。その一方で、ノルウェークローネはいくぶん下落し、想定より弱くなっている」との説明が付け加えられました。
ノルゲバンクの会合後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は次回6月の会合での利下げをほぼ五分五分とみているようです。また、8月までに利下げの確率を9割近く織り込んでおり、9月には追加利下げ(2回目の利下げ)を5割前後の確率で織り込んでいます。
スウェーデンとノルウェーの政策金利差は縮小へ
これまでに大きく利下げしてきたため、リクスバンクの今後の利下げ余地は大きくないでしょう。一方で、ノルゲバンクは政策金利を4.50%に据え置いてきたため、状況次第では大幅な利下げが行われるかもしれません。

Bloombergが4月末に集計したエコノミスト予想では、両国の政策金利差は「スウェーデン<ノルウェー」と、引き続きノルウェークローネに有利かもしれません。ただし、ノルゲバンクが利下げを始めれば、政策金利差の変化はスウェーデンクローナに有利に働きそうです。OPECの増産や世界経済の減速によって原油価格に下押しの圧力が加わるようなら、それもノルウェークローネ/スウェーデンクローナの弱気材料となりそうです。
・リクスバンクは据え置き、不確実性が高まりわずかな利下げを想定
・ノルゲバンクも据え置き、9月までに2回の利下げの可能性も
・政策金利差は縮小に向かうとみられ、スウェーデンクローナに有利か
・ノルウェーは産油国であり、原油価格の動向にも要注意
リクスバンク(スウェーデン中銀)、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)ともに8日の政策会合で現状維持を決定しました。リクスバンクの政策金利は2.25%、ノルゲバンクの政策金利は4.50%。
リクスバンクは2.00%への利下げを視野に
リクスバンクは昨年6月から今年1月まで6回計1.75%の利下げを行いました。3月そして今回5月は据え置き。今回の声明では「海外情勢の不確実性が増したことで、経済見通しは3月時点の予想よりわずかに弱まったようだ。インフレは3月時点の予想に比べて高くなるより低くなる可能性がやや高いと判断しており、先行きにわずかな利下げを示唆しているのかもしれない」とされました。政策金利2.00%への利下げを視野に入れているようです。前回3月の声明では、「政策金利は現行水準にとどまる公算が大きい」として利下げ打ち止めが示唆されていました。
リクスバンクの会合直後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は次回6月の会合での利下げの確率を6割強とみているようです(※)。また、9月までに1回の利下げを確実視しています。
(※)会合直後であり、織り込まれる確率は大きく変動するかもしれません。後述のノルゲバンクの市場見通しも同様。
ノルゲバンクは9月までに2回利下げ!?
ノルゲバンクは23年12月に最後の利上げを行ってから政策金利を4.5%に据え置いています。今回の声明では、「将来の経済情勢には不確実ながら、現時点の判断では25年中に利下げが行われる可能性がもっとも高い」とされました。ただ、声明では「見通しの不確実性は通常よりも大きく、政策金利の軌道は経済情勢次第だ。次回6月会合では新しい予測を提示する」とのこと。声明には、「世界経済見通しが弱くなり、原油価格は下落している。その一方で、ノルウェークローネはいくぶん下落し、想定より弱くなっている」との説明が付け加えられました。
ノルゲバンクの会合後のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は次回6月の会合での利下げをほぼ五分五分とみているようです。また、8月までに利下げの確率を9割近く織り込んでおり、9月には追加利下げ(2回目の利下げ)を5割前後の確率で織り込んでいます。
スウェーデンとノルウェーの政策金利差は縮小へ
これまでに大きく利下げしてきたため、リクスバンクの今後の利下げ余地は大きくないでしょう。一方で、ノルゲバンクは政策金利を4.50%に据え置いてきたため、状況次第では大幅な利下げが行われるかもしれません。

Bloombergが4月末に集計したエコノミスト予想では、両国の政策金利差は「スウェーデン<ノルウェー」と、引き続きノルウェークローネに有利かもしれません。ただし、ノルゲバンクが利下げを始めれば、政策金利差の変化はスウェーデンクローナに有利に働きそうです。OPECの増産や世界経済の減速によって原油価格に下押しの圧力が加わるようなら、それもノルウェークローネ/スウェーデンクローナの弱気材料となりそうです。
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