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米議会、トランプ減税と26年度予算の審議が本格化

2025/05/06 07:35

【ポイント】
・トランプ減税を盛り込む25年度予算調整法案は共和党だけで可決が可能
・減税の財源となる大幅な歳出削減ができるかどうか
・トランプ政権の26年度予算提案は国防費増額と非国防費削減を盛り込む
・市場で財政赤字拡大の懸念が強まれば長期金利上昇も

米議会で、トランプ減税を実現するための予算調整法案と10月に始まる26年度の予算の審議が本格化します。

予算調整法案は、25年度のもの。今年9月30日までの25年度予算は既に継続予算の形で成立していますが、共和党は歳入と歳出の調整を行う予算調整法案にトランプ減税を盛り込む形で成立させようとしています。予算調整法案は上院のフィリバスター(少数政党による採決妨害)が使えないため、民主党の協力なしで立法化することが可能です。

トランプ減税は、今年末に失効する17年減税の延長/恒久化、法人税率引き下げ、チップ非課税化など総額5兆ドル以上の規模。さらに、トランプ大統領は最近になって中低所得層の減税を提案しています。それらを賄うためには社会保障(年金)や医療保険など義務的支出の削減が不可欠ですが、共和党内部にも反対意見がありコンセンサスはできていない模様です。

26年度予算については、2日にトランプ政権が通常の予算教書より簡素な「予算提案」を発表しました。それは国防費を増額する一方で、住宅関連や教育関連などの非国防費を削減し、国防・非国防を合わせた裁量的支出を10%程度削減する内容です。議会では各省庁のトップの公聴会が行われますが、非国防費の大幅な削減は反対の声が多く出そうです。

予算調整法案や予算案の審議過程で、減税の財源が不透明、あるいは不十分とみなされれば、財政赤字懸念から長期金利が上昇する可能性があります。今後は議会の動きにも注意する必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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