ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ:原油安が重石になるか
2025/05/05 08:57
【ポイント】
・OPECプラスは6月に原油を増産することで合意
・米経済指標で同国景気をめぐる懸念が強まるか
・日英祝日で市場の流動性が低下、値動きが増幅される可能性も
(欧米市場レビュー)
2日、欧米時間の外為市場では豪ドルやNZドルが堅調に推移。一時豪ドル/円は93.495円、NZドル/円は86.375円へと上昇し、いずれも4月2日以来1カ月ぶりの高値を記録。豪ドル/米ドルは0.64649米ドル、NZドル/米ドルは0.59722米ドルへと一時上昇し、豪ドル/米ドルは24年12月上旬以来およそ5カ月ぶりの高値をつけました。
米WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙が「中国はフェンタニル(合成麻薬)の米国への流入をめぐるトランプ政権の懸念について、対応策を検討している」と報道。これを受けて米中貿易協議進展への期待が高まり、豪ドルやNZドルのプラス材料になったと考えられます。豪州とNZは中国を最大の輸出先としています。
(本日の相場見通し)
豪州では3日に総選挙が実施されました。公共放送ABCは、与党・労働党が過半数の議席を獲得したと報道。アルバニージー首相は続投する見通しとなりました。選挙前の世論調査の結果によって労働党の勝利は予想されていたためか、総選挙の結果への豪ドルの反応は今のところ限定的です。
***
OPEC(石油輸出国機構)の加盟国とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」は3日にオンライン会合を開き、6月に原油生産量を日量41.1万バレル引き上げる(増産する)ことで合意しました。報道によれば、OPECプラスは7月以降も原油の増産を続ける可能性があるようです。
OPECプラスの増産方針を受け、原油価格は日本時間5日午前に大きく下落。米WTI原油先物は時間外取引で一時1バレル55ドル台前半をつけました(2日の通常取引の清算値は58.29ドルでした)。
原油価格の下落はノルウェークローネのマイナス材料です。原油安が一段と進む場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは軟調に推移しそうです。
***
米国の4月ISM非製造業景況指数と4月S&Pグローバルサービス部門PMI(購買担当者景気指数)改定値が本日発表されます。これらの結果に市場が反応する可能性があります。
市場予想は、ISM非製造業景況指数が50.2、S&Pグローバルサービス部門PMIが51.0です。いずれも業況判断の分かれ目である50は上回るものの、前者は3月の50.8、後者は4月速報値の51.4から低下するとみられています。
これらの経済指標が市場予想を下回る結果になれば、米景気の先行きへの懸念が市場で強まるとともに、米ドルのマイナス材料になりそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移する可能性があります。
***
本日は、日本と英国(アーリー・メイ・バンク・ホリデー)が祝日です。外為市場では参加者が減少して流動性が低下するため、トランプ関税や米中貿易協議について追加的なニュースが出てくれば、値動きが増幅される可能性があります。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。