円が軟調、米ドル/円は約1カ月ぶり、ユーロ/円は約4カ月ぶり高値
2025/05/02 08:52
【ポイント】
・米雇用統計でFRBの追加利下げ観測が高まるか
・CPIでECBの6月利下げ観測が補強されるか
・トランプ関税について新たな報道が出てくるか
・3日に豪総選挙、与党労働党は政権を維持するか
(欧米市場レビュー)
1日、欧米時間の外為市場では円が軟調に推移。一時米ドル/円は145.699円、ユーロ/円は164.399円、豪ドル/円は92.984円、NZドル/円は86.024円へと上昇。米ドル/円は4月10日以来、ユーロ/円は1月7日以来、豪ドル/円とNZドル/円は約1カ月ぶりの高値をつけました。
日銀が経済・物価見通しを1月時点から下方修正。また、25年度と26年度の経済・物価見通しは下振れリスクの方が大きいとの認識を示しました。市場では日銀の追加利上げ観測が後退し、円に対して下押し圧力が加わりました。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[日銀据え置きで円安再燃? トランプ関税はデフレ的!?]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の4月雇用統計が発表されます(日本時間21:30)。この結果に市場が反応しそうです。
雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が前月比13.0万人増、失業率は4.2%です。前者は前月の22.8万人から増加ペースが鈍化し、後者は前月と同じになるとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回5月6-7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いて、次々回6月17-18日のFOMCで0.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢。CMEのFedWatchツールによると、米国時間1日時点で市場が織り込む利下げ確率は、5月が5%、6月までで約60%です。
雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、FRBの追加利下げ観測が高まりそうです。その場合には米ドルのマイナス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わると考えられます。
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ユーロ圏の4月CPI(消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間18:00)。
CPIの市場予想は、総合が前年比2.1%、エネルギー・食品・アルコール飲料・たばこを除いたコアが同2.5%です。
市場では、ECB(欧州中銀)は次回6月5日の理事会で0.25%の追加利下げを行うとの観測があります。CPIが市場予想を下回る結果になれば、追加利下げ観測が補強されるとともに、ユーロのマイナス材料になりそうです。ユーロ/英ポンドの下値メドとして、200日移動平均線(2日時点で0.83871ポンドに位置)が挙げられます。
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トランプ政権は3日までに自動車部品に対して25%の追加関税を発動する予定です。自動車部品も含めてトランプ関税について新たなニュースが出てくれば、市場が反応しそうです。
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豪州では総選挙が3日に実施されます。
世論調査の支持率は、与党の労働党が最大野党の保守連合(自由党と国民党)をリードしています。シドニー・モーニング・ヘラルド紙が4月28日に公表した二大政党に絞った世論調査では、労働党の支持率は53%、保守連合は47%。同じくニュースポール(4/27公表)調査の支持率は、労働党が52%、保守連合が48%でした。労働党が政権を維持する可能性が高いようです。
豪総選挙の結果によっては、5日(月)に窓あけ(金曜日の終値と月曜日の始値に著しい差が生じること)が発生する可能性があります。
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