中東情勢に要注意
2025/06/13 09:00
【ポイント】
・中東の緊張が高まる
・米経済指標で市場のFRB追加利下げ観測が高まるか
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は143.179円、米ドル/カナダドルは1.35959カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16261ドル、英ポンド/米ドルは1.36199ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは24年10月上旬以来の安値をつけ、ユーロ/米ドルは21年10月以来、英ポンド/米ドルは22年2月以来の高値を記録しました。
米国の5月PPI(生産者物価指数)や先週分の新規失業保険申請件数が市場予想と比べて弱い結果だったことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
米経済指標の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・PPI総合(前月比):0.1%(0.2%)
・PPI総合(前年比):2.6%(2.6%)
・PPIコア(前月比):0.1%(0.3%)
・PPIコア(前年比):3.0%(3.1%)
・新規失業保険申請件数:24.8万件(24.2万件)
(本日の相場見通し)
中東で緊張が高まっています。中東情勢には注意が必要です。
トランプ米大統領は11日に「中東地域は危険な場所になる可能性があるため、(米政府)職員を退避させる。退避の通告を出した」と述べ、12日には「イスラエルによるイラン攻撃は十分に起こり得る」と述べました。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は12日、「米国が提案している核開発の制限をイランが拒否した場合、イスラエルは数日中にイランを攻撃する可能性がある」と報じました。
米国とイランは15日にオマーンの首都マスカットで、イランの核問題をめぐる高官協議を行う予定です。
IAEA(国際原子力機関)理事会は12日、核不拡散義務にイランは違反しているとして同国を非難する決議を採択しました。欧米諸国はIAEA理事会を政治的に利用しているとイランは反発。対抗措置として新たにウラン濃縮施設を建設すると表明しました。
中東の緊張が一段と高まれば、リスクオフ(リスク回避)が強まりそうです。その場合には円が堅調に推移して、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円など)は下押しする可能性があります。
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米国の6月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が本日発表されます(日本時間23:00)。
ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は53.6と、前月確報値の52.2から上昇するとみられています。1年先と5年先のインフレ期待の結果にも注目です。前月確報値はそれぞれ6.6%と4.2%でした(6月分の市場予想なし)。
今週発表された米国のCPI(消費者物価指数)やPPI、新規失業保険申請件数はいずれも市場予想よりも弱い結果でした。
ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想に反して弱い結果になる、あるいはインフレ期待が前月から低下すれば、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が高まると考えられます。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。
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