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米トリプル高継続!? ベージュブックには関税の懸念が滲む

2025/04/24 08:03

【ポイント】
・市場は対中国関税の緩和を好感
・関税の影響が本格化するのはこれから
・ベージュブックには関税に関する懸念が滲む

23日の米国市場では、株高・国債高・米ドル高のトリプル高が前日に続いて示現しました。トランプ政権が対中国関税を大幅に引き下げる可能性を示したからです。対中国関税が145%から平均50-65%になりそうだとの報道もあります。もっとも、それは市場が好感するほどの内容かという気もしますが・・・

既に発動された分に含めて、関税の影響は次第に大きく、かつ明確に現れてくるでしょう。Bloombergによれば、最新のベージュブック(地区連銀経済報告)には「関税」の文言が107回出てくるそうです(総括だけでなく各地区連銀の項も含む)。これはトランプ政権1期目に米中間で関税の応酬があった18年10月の51回を大きく上回っているとのことです。

■23日付け「IMF世界経済見通し:政策転換さなかの決定的な分かれ道」をご覧ください。

ベージュブック 関税

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ベージュブック(地区連銀経済報告)には関税への懸念が滲む

ベージュブック

経済活動:
経済活動は前回報告(3月5日)からほとんど変化なしでした。ただ、今回の報告全体を通じて国際的な通商政策に関わる不透明感が広がっていたとのこと。経済活動は、12地区のうち5地区でわずかに拡大、3地区で変化なし、4地区でわずかに、または緩やかに縮小しました。

消費は低調でしたが、関税に伴う価格上昇に備えた駆け込みにより自動車や一部の非耐久財の売り上げが好調でした。出張や旅行は弱く、数地区では外国人観光客が減りました。

製造活動はマチマチでしたが、8地区(3分の2)で変化なし、あるいは縮小でした。

連邦政府の交付金や補助金の削減や事前寄付金の減少により、多くの地域組織の間でサービスに格差が生じました。

経済の不確実性が、とりわけ関税に関連して高まり、数地区で先行き見通しが顕著に悪化しました。

労働市場:
雇用はほとんどの地区で変化なし、またはわずかに増加。1地区で緩やかに増加、4地区でわずかに増加、4地区で変化なし、3地区でわずかに減少でした。前回報告よりは弱め。政府や政府の資金を受ける組織において、雇用の減少が顕著でした。

数地区では、経済情勢がはっきりするまで採用を見送ると企業が回答しました。移民政策により一部の業種や地区で労働者の供給が制約を受けているとの報告もありました。

物価:
6地区でわずかな価格上昇が、残り6地区で緩やかな価格上昇が報告されました。これは前回報告とほぼ同じ。ほとんどに地区で関税により投入コストが上昇すると予想されていました。多くの企業がサプライヤーから価格引き上げの通知を受けているとのこと。通商政策が不透明なため、企業は関税分を価格に上乗せしたり、価格固定期間を短縮したりしていました。ほとんどの企業はコスト上昇分を価格転嫁する方針ですが、需要が低調なために利ザヤが圧縮されるとの報告もありました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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