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IMF世界経済見通し:政策転換さなかの決定的な分かれ道

2025/04/23 08:00

【ポイント】
・IMFは世界経済見通しを大きく下方修正
・先進国では米国、新興国ではメキシコの下方修正が目立つ
・不透明感が強く、今回は通常の基本シナリオでなく「参考予想」
・貿易戦争のエスカレートなど下方リスクが拡大

IMF(国際通貨基金)は22日、世界経済見通しを発表しました。市場では関税交渉が進展しているとして、前日と打って変わってトリプル高の様相ですが(※)、IMFが描く25年の世界経済はかなり暗いものとなっています。

※関税交渉に進展ありとの観測が背景。また、日本時間23日午前6時すぎにトランプ大統領が記者団に対して「パウエル議長を解任する意図は全くない」と語ったことを受けて、米ドル/円が大きく上昇しました。

世界経済見通しのタイトルは、「政策転換さなかの決定的な分かれ道(筆者訳)」というもの。トランプ政権による関税や対抗措置、それらを受けた市場の反応などを勘案し、「現状が複雑かつ流動的であることを踏まえて、本レポートでは通常の基本シナリオに代えて『参考予想』を提供する」と断っています。4月2日に発表された相互関税を含む4月4日時点までの情報に基づいているとのこと。

IMF世界経済見通し 表紙

米関税率

世界の経済成長率(GDP伸び率)は25年2.8%と予想され、今年1月時点(3.3%)から下方修正されました(26年予想は割愛、以下同じ)。先進国の中では米国の下方修正が最も大きく(-0.9%)、新興国も含めればメキシコの下方修正が目立ちました(1.4%から-0.3%へ修正)。

IMF世界経済見通し

IMFは見通しの下方リスクが大きくなったとして、貿易戦争のエスカレート、通商政策の不確実性の高まり、政策対応余地の縮小、金融市場の不安定さなどを挙げました。下方リスクを詳しく説明した後に、関税率の引き下げや通商交渉の合意による安定性などの上方リスクにわずかに触れています。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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