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ECB理事会は7回目の利下げ、「中立」に接近も追加利下げを視野に!?

2025/04/18 07:56

【ポイント】
・ECBは0.25%利下げ、追加利下げも視野に!?
・トランプ関税に関わる「不確実性」が景気下押し圧力を強めると判断
・政策金利はほぼ中立水準か。市場は25年末の政策金利を1.5%程度と予想

ECBは17日の理事会で0.25%の利下げを決定。トランプ関税に関わる「異例の不確実性がインフレ圧力よりも景気下押し圧力を強めると判断。最近のユーロ高もインフレ圧力の低下見通しを通じて利下げの判断を後押しした模様です。前回の理事会では利下げ休止も検討されたようですが、今回は追加利下げを視野に入れているようです。

17日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、理事会後の市場予想は「次回6月に9割の確率で0.25%利下げ。7月は利下げと据え置きがほぼ五分五分。25年末までに計(0.25%換算で)2.6回分の追加利下げ」というものです。市場予想の通りなら、政策金利は1.5%近辺まで低下します。

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ECBは17日の理事会において6会合連続で利下げを決定(昨年6月の利下げ開始から7回目)。中銀預金金利を2.50%から2.25%に引き下げました。

声明では、「インフレ鈍化のプロセスは軌道に乗っている」として自信が示されました。ラガルド総裁は、「最近のエネルギー価格の低下ユーロ高はインフレ圧力を一段と低下させ得る。また、高関税によりユーロ圏の(対米)輸出が減少し、一方で他の国の(対米)輸出がユーロ圏に流入すれば、インフレ圧力はさらに低下する可能性がある」と述べました。

声明では、景気について「経済見通しは貿易摩擦により悪化した。不確実性の高まりは家計や企業の信頼感を低下させ、市場のネガティブかつ変動の大きい反応は金融状況の引き締め効果を持つ可能性が高い」と述べられました。

前回の声明では、「金融政策は有意に景気抑制的ではなくなっており」として、敢えて「景気抑制的」との文言が使われましたが、今回は削除されました。政策金利がほぼ中立的な水準に達したと判断されたのでしょう。ただ、ラガルド総裁は会見で、中立水準の概念は、現在のような不確実性を踏まえれば「無意味だ」と述べました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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