米長期金利は「悪い上昇」か
2025/04/15 08:04
【ポイント】
・米長期金利は4月4日以降に大幅上昇し、米ドル/円と逆相関に
・「悪い金利上昇」か、それとも単に「安全資産への逃避」の巻き戻しか
・減税により財政赤字拡大が懸念されれば「悪い金利上昇」が鮮明に?
米長期金利(10年物国債利回り)は、トランプ関税を嫌気した株価急落を受けて4月4日に一時3.86%まで低下。その後に急反発して11日には一時4.59%と2月中旬以来の水準まで上昇しました。

4月4日以降の長期金利の反発局面でも米ドル/円の軟調な展開が続いているため、「悪い金利上昇」が懸念されます。
株価(S&P500)は2月中旬の最高値から大きく下落。4月8日以降は反発していますが、この間の半値戻しは達成されていません。米ドル/円は1月20日のトランプ大統領就任の前後から3月の一時期を除いて下落基調です。そして、上述の通り4月に入って米国債が大きく下落(金利は上昇)しています。俯瞰的に捉えれば、「トリプル安」と言えなくもなく、米国、つまりトランプ政権に対する市場の信認の低下が示唆されています。
米ドル/円と米長期金利は長い間、正の相関にありました。米ドル/円の上昇(下落)局面では長期金利が上昇(低下)する傾向が強かったのです。しかし、過去10営業日(4月1-14日)の両者の相関係数はマイナス0.61と強めの逆相関になっています(※)。
※3月にも米ドル/円と長期金利は一時逆相関になりました。その局面では、トレンドは株・長期金利とも緩やかな上向きでしたが、日々の動きは逆が多かったようです。理由は不明です。

もっとも、4月上旬に「安全資産への逃避」として株から国債への資金シフトが起こり、足もとで株価が反発していることで資金の逆流が起こっているだけかもしれません。そうであれば、「米国売り」とまでは言えないでしょう。また、上記の分析は10営業日という短い期間のデータを基にしているため、今後の展開次第で結論は大きく変わるかもしれません。
ただし、関税騒動の陰で、議会では減税の実現に向けて前進がみられます。一方で、歳出削減への取り組みが不十分であれば、財政赤字拡大の懸念から長期金利には一段の上昇圧力が加わるかもしれません。その時は「悪い金利上昇」が鮮明になるかもしれません。
■11日付け「関税で荒れるなか、減税が静かに前進!?」をご覧ください。
・米長期金利は4月4日以降に大幅上昇し、米ドル/円と逆相関に
・「悪い金利上昇」か、それとも単に「安全資産への逃避」の巻き戻しか
・減税により財政赤字拡大が懸念されれば「悪い金利上昇」が鮮明に?
米長期金利(10年物国債利回り)は、トランプ関税を嫌気した株価急落を受けて4月4日に一時3.86%まで低下。その後に急反発して11日には一時4.59%と2月中旬以来の水準まで上昇しました。

4月4日以降の長期金利の反発局面でも米ドル/円の軟調な展開が続いているため、「悪い金利上昇」が懸念されます。
株価(S&P500)は2月中旬の最高値から大きく下落。4月8日以降は反発していますが、この間の半値戻しは達成されていません。米ドル/円は1月20日のトランプ大統領就任の前後から3月の一時期を除いて下落基調です。そして、上述の通り4月に入って米国債が大きく下落(金利は上昇)しています。俯瞰的に捉えれば、「トリプル安」と言えなくもなく、米国、つまりトランプ政権に対する市場の信認の低下が示唆されています。
米ドル/円と米長期金利は長い間、正の相関にありました。米ドル/円の上昇(下落)局面では長期金利が上昇(低下)する傾向が強かったのです。しかし、過去10営業日(4月1-14日)の両者の相関係数はマイナス0.61と強めの逆相関になっています(※)。
※3月にも米ドル/円と長期金利は一時逆相関になりました。その局面では、トレンドは株・長期金利とも緩やかな上向きでしたが、日々の動きは逆が多かったようです。理由は不明です。

もっとも、4月上旬に「安全資産への逃避」として株から国債への資金シフトが起こり、足もとで株価が反発していることで資金の逆流が起こっているだけかもしれません。そうであれば、「米国売り」とまでは言えないでしょう。また、上記の分析は10営業日という短い期間のデータを基にしているため、今後の展開次第で結論は大きく変わるかもしれません。
ただし、関税騒動の陰で、議会では減税の実現に向けて前進がみられます。一方で、歳出削減への取り組みが不十分であれば、財政赤字拡大の懸念から長期金利には一段の上昇圧力が加わるかもしれません。その時は「悪い金利上昇」が鮮明になるかもしれません。
■11日付け「関税で荒れるなか、減税が静かに前進!?」をご覧ください。
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