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【株価指数】トランプ関税の発動と猶予で株価は乱高下

2025/04/14 07:15

【ポイント】
・相互関税上乗せ分は90日間停止。その間に交渉か
・11日引け後に発表されたスマホなどの適用除外は今週の好材料!?
・トランプ関税に振り回される状況はまだ続く?

(先週のレビュー)

主要株価指数はトランプ関税の発動や一部猶予を受けて乱高下しました。日経平均FTSE100は前週末の終値を下回って週を終え、NYダウS&P500ナスダック100はいずれも前週末終値を上回って週を終えました。日経平均については、米ドル/円が一時142.002円をつけるなど、「円高」が進行したことも重石となりました。

トランプ政権は4月5日に一律10%の相互関税を発動。相互関税の上乗せ分(日本は14%)を9日に発動するとしていました。そのため、週明け後に主要株価指数は大きく下落しました。しかし、9日にトランプ大統領が突如、対中国を除いて相互関税上乗せ分の90日間停止を発表(発動から13時間後!)。それを受けて主要株価指数は急騰しました。90日間停止は7日にも一部で観測報道がありましたが、ホワイトハウスはそれを否定していました。

なお、中国が84%の報復関税を発動したことを受けて、トランプ大統領は対中国関税を84%(計104%)から125%(計145%)に引き上げました。


(今週の相場材料)

トランプ政権は11日夜(日本時間12日昼前)に、スマートフォンやコンピューターなどの電子機器および部品を相互関税の対象から除外すると発表(中国製品についても同様)。14日の主要株価指数はこれを好感して大きく上昇しそうです。ただし、トランプ大統領は、相互関税の除外は一時的かつ手続き上の措置に過ぎず、同セクターに対する特定の関税について14日に説明すると表明しました。

もっとも、VIX指数(別名「恐怖指数」)は平常時のレンジ(15~25程度)を上回るリスクオフの領域で乱高下しており、このまま株式市場が落ち着きをみせるかどうかは不透明です。日経平均FTSE100は前週末を下回って先週を終えました。NYダウS&P500ナスダック100は前週末を上回ったものの、最高値から7日のボトムまでの半値戻しには届きませんでした。

VIX

関税に関して、トランプ政権と各国・地域との交渉が本格化するかもしれませんが、その内容や結果次第では株価が上下に大きく変動する可能性もありそうです。曜日や時間帯に限らず、どんなニュースが飛び出すか、注意は怠れません。

今週は、ECB(欧州中銀)BOC(カナダ中銀)の金融政策会合が開催されます。ECBは0.25%の利下げ、カナダは据え置きが予想されています。両中央銀行が自国・地域の経済・物価動向に加えて、トランプ関税の影響をどのように評価するか、興味深いところでしょう。

経済指標では、日本、英国、ユーロ圏の3月CPI(消費者物価指数)が発表されます。関税の影響はまだないでしょうが、世界的にインフレの改善が滞っているだけに注目されます。

米国では、3月小売売上高4月のNY連銀とフィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表されます。米景気をけん引してきた個人消費に陰りがみえており、小売売上高が盛り返せるか。4月の両連銀景気指数からは関税の影響がうかがえるかもしれません。総合指数(下振れ?)だけでなく、価格指数(上振れ?)や先行き予想などにも要注目でしょう。

企業決算では、アメリカン・エキスプレスバンク・オブ・アメリカブラックストーンゴールドマン・サックスなど米金融機関の1-3月期分が発表されます。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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